シルバー事件 HD 感想

「シルバー2425」の「シルバー事件 HD」部分をプレイ/クリアしました。シルバー2425の公式サイトはこちら

面白かったし普通に好きなのですが、だからこそ続編で主人公変わるときいて「じゃあ続編は別に良いかな……」となり、今のところプレイしていません。主人公がアキラだからこそ、シルバー事件を好きになったというか。名前表記カタカナ推奨なのは名前を付ける前に言ってほしかったかな!

ノベルゲームに分類されるとは思うのですが、コマの見せ方というのかな、そういうのもこだわっていてノベルより漫画に近い感じ。それでいて台詞が出るときにタイプ音が流れたりするので(タイプ音の音の数が、文字数ではなく発音に合わせられているのが、また良い!)、フィルム映画見ている感じになります。ハードボイルド~。
刑事ものかと思いきや、どちらかというとオカルトものなテイストが強いので、「思っていたのと違った」という人は多そう。実際私もその口ですが、思っていたのと違っても名作であることに変わりはありませんでしたのでヨシッ! って感じでした。

人を選ぶ感じではありますが、少し古めの映画やハードボイルドなものが好きな人にはおすすめでした。

本作の好き曲:Uehara Kamui(「プラシーボ」の2だか3だかのチャプター選択画面の特殊効果かかっているやつ? がめちゃすき)

以下、ネタバレありの感想とか考察とか。

●主人公は結局なんだったの

オリジン「ウエハラカムイ」の、
①血のつながった子ども
②オリジンの記憶保持用に選ばれた器(だけど結局記憶はどこかで破損した)

だと思っています。
カムイ後継者たちの中では何かしら特別ではあるのだけれど、優秀ではないというアレ。生き残った事実を考えれば優秀寄りではあるかな。②だとしたら、悪運が強いだけかもしれないですね。

あるいは、他のカムイたちにはいて主人公にはいなかった、主人公にとってのアヤメがいなかったから生き延びられたのかも。主人公にとっての一番アヤメっぽいサクラは、なんだろうな。「ボスの忘れ形見だから守らなくては」って印象の方が強くないですか? まあボスは生死不明だけど……。
でもサクラの存在は、それを含めてエディプスコンプレックスなのかもしれない。父的存在に代わり、かつて父的存在のものだった女を手に入れる、という。
この作品は全体を通して父と息子の関係性を描いているので、やっぱりオリジンウエハラカムイとのあいだに何かしらの特別な関係があるのではないかな、と思います。

●ウエハラカムイは結局なんだったの

なんだかんだで何かしらの殺しはした可能性は高いと思っているのですが(銀の眼を得るにあたり何かしらした気がする)、スケープゴートにされた普通の人。

結局のところ作中でナカテガワも話に出して利用しようとしているように、マスメディアなんですよ。マスメディアがウエハラカムイにどうあって欲しいかの願望なのですよ。水面に落ちた一滴の水が、ずっと波紋を作るように、その存在が大きな影響力を持ち、やがて影響力しか残らない。ウェルテル効果ですね。
政府としても飼い殺しにしている分には、民衆の眼がカムイのほうに行くし、カムイたちの育成方針にもなるし。もしかしたらカムイたちがカムイたちであるがため必要なものに、オリジンウエハラカムイの何か(細胞とか)が必要で飼い殺しにしていたのかもしれない、なんて思っています。

●作中でのクサビの行動(コトブキ/モリカワ/ハチスカ殺し)はなんだったの

コトブキ殺しに関しては、エディプスコンプレックス、エディパール的行動。
で、残り二人はどちらかというと、アブラハムコンプレックスに近そう。と思ったんだけれども、モリカワは同世代っぽいから微妙かなあ。

詳しくは後ろのキャラごとの感想のところに書きますが、結局のところスミオの一件を受けて「こう(悪い方向)なってしまうこいつを見たくない」「自分の手の届かない(=自分が守れない)ところに行ってしまうくらいならば、そこに行ってしまう前に行けなくする(=殺す)」とかだったのかなあ。

●主人公について

トキオ視点での「こいつこっわ!」という印象が強いです。いやめちゃくちゃに怖くない!? 怖かった。
作中で過去は一切説明されないんだけれど、主人公にとっての鏡写しの存在である他のカムイたちの存在で、なんとなく知ることができる。プレイヤーによってそのあたりの解釈や妄想は異なるので、割と好きにしても大丈夫なのが個人的にイイ! と思いました。

終盤の「俺が終わらせなくちゃ……俺はなんも悪くねえけど……」という雰囲気、割と好きだよ。
なんか大人たちからは気味悪がられたりするけれど、子どもたちからはよく好かれる描写が多いあたり、子どもの目線に立って話せるというか、裏切られた青年というか、そんな印象を受けます。太宰治?
実際、始まってすぐにボスという保護者存在を失って精神的にだめになっていたっぽい+その後は全て年上に流されるがままなので、精神的に同世代に比べても幼いのだと思います。

●クサビについて

ひでえ渾名つけやがって……w
仲間たちのことがなんだかんだで好きだったのだと思います。で、彼の中で「成長」と「変化」は違った。「成長」するデカチンは良かったけれど、「停滞」を選ぶコトブキや、悪い方向へ暴走する感じに「変化」したり、自分の手の届かない所へ行くことを選択するように「変化」していくハチスカ/モリカワはだめだったのかなあ、と。

●スミオについて

パレードはまじで良かった……。
好きなキャラでした。まじで、自分の行動(パレード自体)に対して何も後悔していないところとか。確固たる信念があるキャラが好きなんですよ。他人に悟らせないほどに読唇術を習得したり、復讐のためだけに生きていて自分も磨いて密かに仲間と連絡を取り合っていたのだろうなって。親を含めた故郷に対して、憎しみしかないんだろうなって。
それはそれとして「クサビに申し訳ないなあ」とは絶対に思っているじゃないですか。クサビが彼にとっての、本来の意味での保護者的存在だったんだろうなって。実際の親たちは守ってくれなかったから。

●コトブキについて

変化を恐れることは、ハチスカ(区長の方)たちと同じ、銀の眼を求める老人たちと同じになるということ。
クサビには許せなかったんでしょうね、敬愛するコトブキがそんな存在に成り下がるのが。

●モリカワについて

ハチスカのことは本気で愛していたとは思います。
クサビもなのですが、上と下がいる難しい世代。オリジン・ウエハラカムイのことを当時から比較的現場に近い立場で知りつつ、かつ今育てるべき守るべき下の世代がいるのがこの二人なんですよね(ナカテガワには下がいないし、公安でもどちらかというと補佐っぽかったのかな)。ここの二人は対比的存在なのだと思う。

●ハチスカについて

ハチスカが女として愛したのはカムイ世代でないモリカワだったので、そういう意味ではアヤメとして落第だったのかな、と思います。
カムイたちとは裏腹に、アヤメたちは生きていることが多いので、アヤメとして落第だったハチスカは死ぬ運命にあったのかなあ、なんて思いました。

●ナカテガワについて

ナカテガワはクサビに殺されたというわけではないのですが、変化したいがためにカムイ殺しに憑りつかれて、それしか見えなくなった感じがしました。それより前では一歩引いた位置にいつつ、時々「いやお前……」みたいなことをするキャラ、という印象だったのですが。
彼自身は成長を目指しているつもりだったけれども、それは後ろを向いていた。あるいは全く違う方向を向いていた。そんな感じ。

●トキオについて

バーでのマスターとのやりとりめちゃすき。
デカチンよりは精神的に安定していると思います。というか、なんだろうな。自立している? デカチンは一人で生きていけない存在で、作中で一通りの事件を体験することで、独立した。
時雄は最初から自立していて、そこからさらに強くなる、成長するための作中での事件で、そして旅に出た。そんな印象です。俺だったかもしれないお前。

5万貸してくれ。

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