フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと 感想

PS Storeはこちら

何とも不思議で貴重な体験ができたゲームでした。ただ……ただ、酔う……! 酔うんじゃ……!!

つぎつぎと不幸な死に見舞われたフィンチ家。彼らの住む家は、屋敷にどんどん手を加え、歪に増築されていった屋敷。そんなフィンチ家はいろんな意味で有名な一族です。
プレイヤーはそんなフィンチ家の最後の生き残り、「エディス・フィンチ」として久しぶりに屋敷に足を踏み入れることになり、そして家族たちの死に想いを馳せることになります。

その屋敷が本当もう、俺の考えた最強の家って感じです。家族各々に自室があり、その各部屋が全て違う方向で魅力的になっています。誰かしらの部屋は刺さるだろうし、「ここに住みて~~~!」ってなると思います。なりました。
部屋や屋敷に散らばっているオブジェクトの一つ一つが、そこの住人たちの何かしらの思い出を表しており、家族の死というのも幻想的というか、全て物語的で。屋敷が長年放置されていたのに荒らされていたり埃が積もっていたりといった形跡が見られないのも相まって、ずっと映画でも見ているような気持ちになります。
ゲームシステムも、エディス(プレイキャラクター)操作時と回想時で全く異なるし、回想ごとにシステムがまるきり違っていて飽きさせることがない。ミニゲーム集といった感じの操作感。

本当に、酔いやすいというところさえなければ、という感じでした。ポケモンXの感想の時にも書きましたが、自分はゲーム酔いしにくい方だとは思っているので(最近自信なくなってきた)、なりやすい人にとっては本当辛いと思われます。「プレイしたいけれど酔いやすい」という人は、薬を飲むか、休み休みのプレイをおすすめします。

●以下ネタバレあり感想

プレイキャラクターのエディスが「家族の死がどうか報われますように」といった感じで追悼して想像を巡らせるゲームなので、当然といえば当然なのだけれども、エディスから離れれば離れるほど、あまり良い結末を迎えません。いや良い結末というかみんな死んではいるのだけれども、幻想的な終わり方というのかな。「その人の死を物語にできた」という感じの終わり方をしません。
逆に言えば後半に出てきたキャラクターであまり幻想的な死でないキャラクター(サムとか)は、エディスにとって見てあまり良い印象を抱いていなかった可能性が高いと思っています。美化する必要がないと思っていたことなので。

●モリー

モリーのパートは「日常生活に溶け込める、自覚のない狂人が、最後の一線の淵に立っていたから背中を押された瞬間」という感じがしました。本当に些細なことで一線は超えられてしまうものなのだと再確認。1940年代のネズミの餌や歯磨き粉って良くないもの入っていそうだもの……。

●カルヴィン

ブランコ酔いやすいけれど、空を飛びたかった(のだろう)という心境は非常に共感出来て好きです。けどなんでよりによって、酔いやすいカルヴィンが再プレイトロフィーやねんとは思いましたね……。

●バーバラ

彼女だけ普通に、明確に人間が犯人の殺人事件で、それが漫画などになっている(=見せ物化されている)のは普通に辛かったです。夢を追い続けて夢に殺された感じがする。

●ウォルター

バーバラの死の責任を感じて地下にいたのかな、と。線路もあったし電車にひかれたのかな。シェルター内部が定時に揺れる、といった説明があったし、それそのものが電車だったのかもしれません。彼を守っていたのも殺すのも、現実世界から救いだすのも、電車だった。

●サム

子どもの心境にもう少し寄り添えば死ななかったので、割と冷めた目で見ています。エディスも多分同じ気持ち。

●グレゴリー

イマジナリーフレンドに似たところがありますが、空想の世界との友達をかき消してしまう親の喧嘩声から逃げるために、空想の世界へ消えていった。ひたすらに楽しい世界と、親の喧嘩ばかり聞こえる現実。
このあたりからエディスの、家族の死に対する追悼想像が深まっていると思います。

●ガス

義母に対して、というか再婚という行為に対しての拒絶は、思春期ではまああるもので。避難した誰一人もガスについて思い至らなかった、みたいな回想があったあたり、何というか、サムに対して一昔前の家庭男性像を感じさせます。

●ミルトン

最初下へ伸びている蔦を見て「次こっちに行くのかな」って思っていたので、自分の世界を求めて蔦から家出をしたのか、あるいはその途中で転落死したのかなって思っています。個人的にはルイスとも繋がるので後者。
前作との繋がりがあるみたいで。前作凄い気になっていたのでぜひやりたいのですが、前作も凄い酔う気がする……。

●ルイス

先ほどミルトンが転落死した可能性を挙げましたが、その場合、大切な弟であるミルトンを新しい世界に旅立たせてあげる手伝いとして、見つけてしまった遺体を他の人に見つからないように処理したのがルイスなのではないかと思っています。「現実世界でミルトンの遺体が見つからない」がミルトンの生死をシュレディンガーの猫にさせるので。答えを知っているルイスさえ我慢すれば家族は希望があるし、ミルトンももしかしたら本当に幻想世界で生きていけるのではないか、という。うみねこ的な。
この場合、そりゃひきこもるし薬にも走るし病むよなって感じで、ルイス自体の死の理由にもつながっているので、割と説明になっているのではないかと思います。優しいお兄ちゃんだったから苦しんだし、外に出なければルイス自体は自分自身を空想の世界の住人にさせなかったと思うので、ことルイスの件に至ってはとどめを刺したのが母親だっていうのが、またなあ……。ルイスパートは本当に、じわじわと浸食されていく感じと、その浸食先の世界が「怖い」と「楽しい」が共存しているのが罪深い。

●イーディ

イーディの回想?で海のもう一軒のフィンチ家に向かうやつは、そのままイーディの失踪につながると思っています。

●ドーン

仕方のないことだとは思うけれども、子どもたち(ルイスとミルトン)の死の原因に多分なっている。それで本人は家を出てからそのことに気が付いたのだと思います。グレゴリーはともかくガスの件を経験しているのだし、自身もサムの死の際のエピソードを見るに理解のない親に対して思うところがあっただろうから、ルイスに対してもう少し……さ……と思わないでもない。似た者親子だったんだな。

●エディス

最後の出産の暗喩シーン、割とど直球でびっくりした。母になるにあたって、家族というものを振り返りにいった彼女。どういう最後を迎えたのかな。幸せだったといいな。

文量でわかると思いますが,ルイスとミルトンが好きでした。あとグレゴリーも。子どもが死ぬ系苦手なんですけれどもね……ゴレゴリーの死は怖くなく感じたのが救いです。

ゲーム感想一覧に戻るにはこちら