プレイステーション ソフトウェアカタログはこちら。PSアーカイブスでプレイしました。
(製作会社であるZealsoft社が解散しており、ソニー・コンピュータエンタテインメントのウェブサイト上にあった本作のオフィシャルサイトは削除されているようです。というかソニーは全ページSSL化した方が良いよ……)
長く続いた平和によって、王族や貴族、聖職者といった上流階級達は腐敗の一途を辿り、平民は搾取され虐げられていた時代。
城壁と山脈で外界から閉ざされた「カルスの棺桶」と呼ばれる冒険者の町「カルス・バスティード」の地下遺跡には、「アスラ・ファエル」と呼ばれる太陽帝国の黄金郷が存在し、そこには不老不死を得られる秘石「アザレの石」があるという。
冒険者たち(プレイヤー・仲間)は様々な思いや野望を胸に、後に「黄昏の時代」と呼ばれる時代に至るまでの戦いの日々を迎えることになる……。
この時点でもう何となくわかったと思いますが、世界観や物語背景といったものの作りこみが凄くて、ゲーム内で見られる国の説明などを見ているだけで1~2時間は余裕で溶けます。最低限の説明はストーリー内でしてくれるので、そういう文章が苦手な方でも大丈夫です。
最初のキャラメイク的なところで、外見こそ変えられないものの、出身国や職業などを選べるのですが、これが仲間たちとの友好度や会話の差分に繋がってくる。単純に「この職業だからこの会話差分ね」みたいな感じじゃなくて、「この職業で他の選択肢との組み合わせがこうだったから、じゃあこの会話差分ね」って感じです。細か~い!
そしてこれはキャラクターたちの性格や個性にも直結します。例えば、親が経営している孤児院の資金のためにやってきた優しい女の子・サラは、主人公をどの職業にしても友好度が下がることはありません。上記で言っている通り貴族などは腐敗しきっていて、主人公の職業(というより出自か)を「上流貴族」にすると、仲間の初期友好度はそりゃあもう大抵「嫌い」とかから始まって上がり方も悪いのですが、サラはそんなことない。
で、そんなサラのお部屋を訪問するとお掃除していたり、夕方には酒場のマスター・オイゲンのお手伝いとして厨房で料理をしていたりなど(実際にサラが作った料理が、あとあと酒場で買えるようになったりします)といった行動をします。本ゲームには時間の概念もあるのですが、仲間キャラがその時々の時間・場所によって、それぞれの性格を元にしたセリフを口にしたり行動をしている。
で、その彩を支えているドット絵も凄い。FF6みたいにぱっと見で凄い! となる感じではなく、いぶし銀の凄さ。とにかく細かいところまでこだわっている。ぬるぬる動くのはメインキャラクター達だけではなく、モブキャラのおっさんたちも話しかけるとその方向に首を向けてくれます。このおっさんたちがまた深い台詞を口にしていて良いんだ……。まあ……中盤ぶん殴りたくなるんですけれど……。
で、そんな仲間キャラクターたち13人と個別ED×男女主人公で計26個ものEDが存在します! 同性でも個別ED迎えられます! わーい! これはものすごいことだと思います。別にEDの数が多ければ多いほどいいっていうタイプではありませんが、PSのゲームで恋愛の有無とか含めてこの数用意したってのは純粋にすごいことだと思います。
「どうせ性差は細かい部分が違うだけやろ」って思っていたら、キャラによってはかなり違うようです(エレアノールとか)。私はセーブデータ数の兼ね合いもあり女主人公分のEDコンプで終わろうかと思います。あ、引継等の周回プレイはできません。
その上での難点として、昔のゲームあるあるではありますが、序盤が難しい! まじで! 周回したくない最もたる所以がこれです! 序盤でシステムの売りの一つであるトラップの使い方やTB(時間内に連続して敵を倒すとボーナスが貰える)のチュートリアル的なステージが続くのですが、これがまじで難しい。こういうのって「ゲームが上手なプレイヤーはやりこんだり、あえて縛ったり。そういった、ゲームが下手なプレイヤーにとっては全くできなくても救済措置があったり、なんならスルーして大丈夫なボーナスシステム」であるべきだと思うのですが(トラップはともかく、TBとかそれにあたると思うんだよな)、序盤のステージミッションとして強制される。で、その間は他のミッションにも参加できないので、レベルを上げてゴリ押し戦法も使えない(TBはそもそもレベル上げてごり押しできるようなシステムでもない)。加えておそらくTBの稼ぎを制作側は前提にゲームバランスを想定していると思われ、これまた序盤の金策が本当にきついです。回復薬が高ぇんじゃ……。
レベリング箇所はありますが、なんと、個別ED分岐後なんですねぇ~! 一応好感度的な意味で救済キャラはいるものの、個別ED分岐がかなり早い段階でありますので「気になるキャラだなED見たいな」となればもう最初からその子をストーキングした方が良いです。「やっていればED迎えたい子が決まるかな~とりあえず進んでいくか~」ってプレイの方はご注意くださいませですわっ!
●以下ネタバレあり感想
フレーバーテキストかと思っていた、信仰が牙を向いてくるの、たまんねえな……。
ED分岐後の終盤のダンジョンでは選択したパートナーと攻略することになるのですが、その終盤ダンジョンの一つにあるステージで、仲間には故郷などの懐かしい風景が見えるのに主人公(プレイヤー)には不気味にうごめく紫の壁のようなステージしか見えない、という箇所があります。
主人公の過去が気になるところですがそこは置いておいて、「どれだけ愛し合っていても、信頼し合っていても、所詮人間同士は同じ世界を共有することはできない」とステージが言っているところに、キャラの深層心理が実体化して「本当の私を知らないくせに」と言ってくる。
「他人のすべてが理解できない、理解できないから怖い。理解できないから苦しむ。ならば全て溶けて混ざりあって一つになってしまえばいい」という敵サイドに対して、「理解できないのが当たり前だし、悩みぬいて生きていく」なんなら「苦労しないで全て理解出来たら気持ちが悪い」という答えを、個性が強い仲間たちを描くことで誰とパートナーになっても回答できるの、たまんねえな……(2回目)!
EDも基本的には「諸悪の根源の神を倒したからって、変わることのない人間たちがいるんだから世界が良くなるわけありませんわぁ~!!」といった感じ。人々の拠り所であった信仰は嘘八百だし、でもそのことをすぐに受け入れられる人は少ないし、力のあった大国は滅ぶし、力のない人たちは相も変わらず搾取されています。地獄。
けれど、そんな地獄を主人公とパートナーは生きている。生き抜いている。これがまた個性あふれていて良かった……良かったのだけれど、一部被っていて悲しかったです……。EDに至るまでの経緯で、パスカ / アッシュ / シャルン / 微妙にジェシカも結構被っている。
●アッシュ
上でも言いましたが、アッシュとパスカの道中は特に似通っているんですよね、そこは残念でした。
でもEDは割と違っていて、なんかアッシュは他のキャラに比べても妙にED演出に力が入っています。個人的にはとても好きな演出でした。映画のような演出、良いよね。
●アーサー
神父様がEDに絡んでくるかと思ったらそんなことはなかった、何だったんだあの人。
父親の跡を継いだ最初は、民からの反発も結構あったのではないでしょうか。尊敬していた父親の傍にずっといれば父親はもう少し違う道を進んだかもしれませんが、そうなるとそれはそれでアーサー自身が成長しなかったから、まあむべなるかな。
●パスカ
お前、そこは言えよ!! んも~~~!! ってなった。もだもだする男だ。普段飄々としているのもあって、そこはちゃんと決めて欲しいと思いました。
あとパスカ+主人公に加え、最終戦に連れて行ったサラも溶けているの笑った。あの空間、絶対に二人だけの世界というわけではないんだ……w
●オルフェウス
飄々としているくせに「好いた女を信じるのが男の役目」って言い切れるのがずりぃわ……。
デュオ=ニュソス→オルフェウス→イレニウス、と、どんどん名前が変わった彼ですが、忘れたといっていた本当の名前を憶えているし、そしてそれを誰の名前だったのか知るのはもう一人しいか生きていないし、その名前の持ち主ももういない世界で、主人公は未亡人しているんやな……と思うと、本当に良い意味で憎いキャラだと思いました。
主人公は好きな女からもらったリュートを奏でる彼が好きだったんだな……だなんて思う。サディーヤの言うようにきっと結婚を申し込んでくれるのを待っていたけれども、そんな日は来ないこともわかっていたのだろうな。
●ディアス
最初にサラと共に攻略しました。後々分岐条件見返すと、結構条件楽で良い奴やな……ってなる。最初こそめんどくさそうな条件で「人柄表しているな……」って思っていたけれども、オルフェウス/イヴの条件の面倒くささや,必須イベント「過去」の発生時期がかなり短いエレアノール/レイアと比べると楽だし、なんだかんだで愛に飢えていた感じを表していて始まる前とは別の意味で「人柄表しているなあ」と、良い攻略難易度だなって思いました。
あとはEDが好きです。後世にはずっと悪人としてみられてしまうけれど、きっと本当のことは仲間たちしか覚えていないし、当の2人からしてみれば仲間として思っているかどうかも怪しいけれども。後世のために自分たちを犠牲にして、でも本人たちは犠牲だなんて一切思っていなさそうなところが良い。「一緒に死んでくれ」って……ええな……。
あとディアスの選択必須である「ルカの説得」が、EDでルカの宗教改革に繋がるのがなんか好きでした。生死は影響しないけれど、信仰に憑りつかれているのを見たままだったのは耐えられなかったのだな、と。ルカにとってはディアスは大切な仲間で命の恩人だよ。
余談ですが基本的に最終戦にはパートナー+サラ(か、慣れてきた後半はパートナーと2人)でした。ので、サラが巻き込まれなかったことをディアスが安堵しているシーン差分があったわけです。やっぱり根っこは人を信じていたいキャラなんだな、というかそうでなければ宗教革命を他人に任せて所業を背負いこむことなんてできないよ、なんて思いました。
●ルカ
ルカEDはED序盤のオイゲンやクムランとのやりとりが変わって好きでした。いやまじでね、あの部分に変化があるのは嬉しい。ルカのほかはノエル/イヴくらいしか目立った変化がなかったので……。
ルカの告白イベントは笑ってしまったのですがw。それはそれとして自分の信じた信仰を貫くことが出来る強さを、この物語を経て彼が得たのがとても嬉しいです。ペアEDを向かえないでも彼が宗教革命を為すことは変わらないので。
●レイア
家族と再会できて良かった~~~! でも過去が重すぎるんだッピよ……助けた人たちから石を投げられるって本当やるせねぇよ……EDでは剣を置くことができて本当良かった。家族と再開できた以降は戦とは無縁の場所にいてほしい、俺が体を張ってくるからよォ……
●エレアノール
エレアノールとレイアは割と近しくて、レイアの父のifがエレアノールで、エレアノールの父がレイアのifです。多分話し込めば、ここ2人は決定的に相容れないと思う。
●シャルン
正直女版パスカだな? ってなりました。パスカよりもはっきり好意を伝えてくれるなってくらいです。
●ジェシカ
告白したのに拒否されちまったよ……
ジェシカのふてぶてしさは、あの掃きだめのような街で、一種の制汗剤ですよね。別に特段好きなキャラではないのですが、なんだかんだで面倒見良いし、憎めないキャラだなあと思います。
いやでも振った相手を相棒として一生連れまわしているのはどうかと思うな……。
●イヴ
好きだ~~~~!! ビアン気一見ありそうで、多分ないんだろうな……と思った次第。いるよねそういう人。
それでも一生一緒に面白おかしく二人旅できそう。振られても一生ついて行くからな……(さっきと言っていることが違う)。
一見女の子たちの中で一番大人な女性に見えて、本当は、母親に会いたい愛に飢えた、一番の少女まであるかもしれない子。だのに不安を抱えたまま「知ってる? 今あたし達が生きているところが天国よ。笑って生きていく気さえあればね。」って言って、後で“俺に”だけ不安を漏らす、ってのが堪らなく好きです。
あれだな、太宰治の「ヴィヨンの妻」がめっちゃ好きなんですよ……。「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きてさえすればいいのよ」ってのが凄い大好きで……。イヴは月の女だよね。
●ノエル
ノエルとシャルンが等身大の女の子だと思うのですが(サラは善性が過ぎて等身大の女の子に思えない。もはや慈母)、ノエルはどちらかというと、作中を通して等身大の女の子になっていく、という感じがします。
聖者の揺さぶりシーンでノエルは肉親すら出てこなく、かといって死別した発言等もないので、「側にいるのに分かり合えない」という状態だったのではないかと思います。
死別とどちらが辛いか、これは一長一短であり一概には言えませんが、だからこそEDで主人公を待つ選択をしたノエルを「立派になった」と認めて褒めてくれたクムランとの出会いがどれほどのものであったか、と思います。そりゃクムラン追ってあんな物騒な街にも行くわい。
ま、そんなクムランに俺は”勝った”んですけどね(突然の相棒面マウント)。
●サラ
この世界でこんな生き方してここまで秩序善性の塊でいられる女、おる!?!?!? 好きだ……。
最初「回復役だしな」って感じでパーティに入れていたのですが、本当に良い子でどんどん好きになって言っちゃって、「いつか悪意に晒されちゃうのかな……俺はその時に守ってやれるのかな……」って思いながら見ていたら、サラはサラ自身の善性で自分を守れるし家族もサラの善性に支えられているし、ED後がサラの善性に世界が少しずつ救われているのが本当に良かった。サラと主人公が戦に出て、おっちゃんたちが洗濯(=家事)している、ってのがまた良い。私の場合は女主人公だったので余計に。
子どもたちの帰る家になって、帰る家を守るんだな……。好きだ…………。サラと友達以上になりてぇよ……。
●オイゲン・バルデス・クムラン・サディーヤ(というかネームドNPCたち)
「バルデスの一番下の兄弟が、実は生き残っていた私だったらどうしよう……」なんて思っていました。無いと言い切れないのがこのゲームの物語の恐ろしいところですね。
「果たしてこれで良かったのだろうか?」と大人たちが思わず言ってしまうような世界の有様に対して、永遠の少年から解放されたばかりの少年と、未来を担う少年少女たち(パートナー)が「それでも胸を張って、前を向いて生きていく」と答える。ビター味なハッピーエンドだぁ……。渋いぜ……。
バルデスとクムランのバディが凄い好きでした。周りのモブからバルデスを引き合いに出されて今なしていることを責められても、相棒としてのバルデス自身とそんなバルデスの残したものを信じて必死に足掻いて、神の首に手をかける道具を生み出したクムラン。こんなん好きにならないわけないやろ……。
■
サラとイヴが特に好きになりました。太陽の女と月の女だよ……好きだよ…………
やっぱ序盤の難易度だな! それのせいであまり人におすすめができない作品になってしまった。世界観の作りこみが凄まじいので、世界観が好きな人にはぜひ一度プレイしてもらいたいとは思うんですけれどね……。
おすすめ職業は槍と弓です。私は槍一択でクリアしました。女はパワーでなんぼですよ。
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