診断書屋さん 感想

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日常生活に疲れた主人公を操作して「診断書」を貰おう、という短編ノベルゲーム。

漠然とした不安。芥川が言うところの歯車。誰にでもあると思うんですよね、私はめっちゃあります。
こういうのって名前を付けるだけで変わるんですよね。昔の妖怪とかも元をたどれば誰かの不安や不思議現象に名前を付けたものだとか。

そうした歯車にそっと寄りそうだけで助かる人もいる。気分が軽くなる人もいる。
そんなお話しでした。クラシックBGMがぴったりなので、夜の静かな時にプレイするのがおすすめです。

ナイナイ 感想

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人間になりたいネズミの女の子が、魔女の試練に挑んでお掃除するゲームです。

作者さんの絵がかわいくて好きで、「すぐにクリアできそうなやつから手を付けるか~!」ってなったので、本作にまず手を付けました。絵、まじでかわいくない!?
絵だけでなく世界観も良い。登場する魔女ごとに、登場するごみの種類や部屋など拘っていて、全キャラ素敵。人気投票とかやったら誰が1位になるんだろう。

1-2時間でさっくりとクリアできるシンプル操作ゲーム。絵に惹かれた人はぜひ。

廃品回送 感想

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「バイナリ・シンドロームTGS体験版」「L0ST M@IL」に続いてプレイ(プレイした順番的には、「L0ST M@IL」→「バイナリ・シンドロームTGS体験版」→「廃品回送」だったかな……?)

「L0ST M@ILと同じ作者さんなんですか……!? 前作と同じ世界観なんですか……!? 本当に……!?」と言いたくなる、なった。言った。まあ前作からきな臭い雰囲気はあったけど……
というのも本作、ばりばりの階級制度、管理社会で、これぞ近未来SFディストピアって感じです。好き~。市民、貴方は幸福ですか?

グラフィックはパワーアップ。退廃的なSF世界観をここまで綺麗なドット絵グラフィックで魅せてくるのは本当すごい。
あと個人的には、足音が鳴ること、終盤のとある出来事を境に足音が鳴らなくなることが好き。

主人公は妹と生き別れていて、ゲーム序盤で再会するのですが、まあ再会の仕方からしてろくな未来が見えね~~~! ってなります。なった。

探索が前作よりもわかりやすくなっているほか、EDの分岐もわかりやすいです(EDは2つ)。
片方のEDの演出が本当、ゲームのストーリーや画面を最大限に生かした演出で、見た後に思わず鳥肌が立って笑いが出ました。人間、訳が分からない時、なぜか笑いが出たりするよね……って実感しました。褒めてます。
バイナリ・シンドロームはフリーゲーム2作と比べると、ノベルADVとして注力できるのではないかという雰囲気で、作者さんの得意とするところだと思います。楽しみ~。

ケートス号にまつわる記録 感想

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発狂したAI搭載無人潜水艦「ケートス号」。かつて戦争を終わらせた彼女は、人を狂わせる歌を歌うようになってしまった。
人類はケートス号の監視のため、死刑囚を乗せた潜水艦を送り出すが……

めっちゃおもしれ~~~! こんなブログ読んでないではよやれ~~~! プレイしてから帰ってきてくれると嬉しい(小声)。
SFとパニックホラーが混ざった世界観、問題だらけだけど魅力的な乗組員たち。潜水艦を舞台とした映画のような良作短編ゲームでした。「Return of the Obra Dinn」リスペクトだったりする? まだやってなくてごめん。
同じ作者さんの他ゲームもやりたいです。この前Twitterで話題になっていたあのゲームの作者さんだったのか。

●北神(END1「52Hzの沈黙」)

全く精神汚染されなかったのも、彼にとっては妻と対話していたからなんでしょうね。妻に会いたかったからわざと囚人になったような気がします。
考えてみたら歌っていたしずっと精神汚染0だし、割と最初からわかるようになっていた。そういうのだいすき。

●東斬(END2「鬼神墜つ」)

詳しくは南波のところでも語りますが、東斬の弟=南波だと思っており、殺した女=AI化する前の主人公だと思っています。
それを踏まえたうえで、東斬が最後にすがる相手がその女(だったもの)、東斬が切り捨てた愛に飢えていたことを悟ること。因果応報だなあというか、尊厳凌辱というか、作者の癖だな、と思いました。俺も嫌いじゃないぜ。AIに「呆れた」という表現を使わせているのも徹底しているなと思いました。

●西海(END3「水泡に帰す」)

主人公をAI化させたのは彼だと思っています。
北神のことを憎んで追いかけて奥さんもAIにしたのに、自分のことを歯牙にもかけていなかったし、一人で自死してしまった。
国に捨てられたこともあって、「可哀想が可愛い」枠だったと思います。

●南波(END4「うつろ船」)

南波の過去には改竄した形跡があるとのことでしたが、これってもしかして、主人公が自分の愛した女性を使用したAIだったと知って会いたいから罪を犯したのか、他の乗船予定だった人のデータを乗っ取ったのか(リボーンの骸とランチアみたいな)だったのかなって思います。

好きだと言えなかったとあるので、殺された女性とは恋仲になる前だったんだろうなあ。
プログラムが指輪、人差し指なんだね……ってちょっぴり切なくなった。主人公のことを知った日から用意していたのかな。お前の愛した俺じゃなくても愛してくれてありがとうな……

L0ST M@IL 感想

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とあるアンドロイドの記録を探すお手伝いをするゲームです。
エンディング1種類のノベル要素強め短編ADVです。特に分岐もありません。
色々調べてお話を読み、雰囲気を楽しんでください。
落ち着いた近未来の世界観がお好きな方にどうぞ。

……とのこと!(公式サイトより)

以前感想を書いた「バイナリ・シンドローム TGS体験版」のゲームの作者さんの過去作です。
雰囲気とドット絵が良い。探索もユーザーフレンドリーで、30分くらいで後味の良い作品が欲しかったらまずプレイして間違いないです。
ただ、処女作ということもあり、後発作品に比べるとテンポがもどかしいのも事実。「同じ作者さんの他の作品もこれも気になってる!」という方は、まず本作からプレイすることを推奨します。ほっこりしたい人にもおすすめです、少し不穏だけど。

ドリートポーカー!! 感想

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同じ作者さんの別作品「ミマモロール!」が名作だと聞いた+ポーカーが好きなので、「せっかくだから俺はこのゲームからやるぜ!」とプレイしました。

記憶喪失の男の娘&ショタと一緒にポーカーで遊ぶミニゲームです。ポーカーで勝ってポイントゲット、そしてそのポイントを景品と交換することができ、景品を集めるとストーリーが進行します。
景品のほか、ゲームが遊びやすくなるシステムとも交換することができ、とても遊びやすい。ゲームシステムにストレスがないのがとてもいいです。

絵が可愛い、ゲームシステムもストレスフリー。文句がねえ、クリア後要素まで収集しました。
男の娘とショタが好きだったらプレイして損はないゲームだと思います、隙間時間で進められるし。もちろん一気に一点集中でやるのもありです。
ストーリーも鬱々としすぎておらず、でも悩みとしてわかる、そんな塩梅です。

ミノニヨクシティ 感想

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自覚してはいけない。

主人公の「ピギュラ」は「ミノニヨクシティ」に引っ越してきたばかりの好奇心旺盛な少年(一つ目)。町長代理の「ホポポ」に勧められて、夢である「雑貨屋」さんを開くための準備に奔走します。

住民と交流を深める中で自覚してはいけないピギュラはなぜこのミノニヨクシティに引っ越して来たのか自覚してはいけないこの町の住民たちは自覚してはいけないなにをかかえているのかこの町に自覚してはいけない隠された秘密とは自覚してはいけない自覚してはいけない自覚してはいけない

自覚してはいけない。

以下、ネタバレあり感想。

優しい死を描く作品でした。クリアしたときに切ない気持ちになっちゃうんですけれど、これで良かったんだなって気持ちにもなる。

●戦わない優しさ

ピギュラ(ユウヤ)の死因で思うことはいろいろあると思います。
世論で「教育が行き届いていなかったり、一人で行かせたりすぐに息子に気が付かなかった親のせい」「不注意だった息子自身のせい」「子どもに気が付かなかった運転手のせい」「交通量の多い道の整備を怠った行政のせい」とかとか、いろいろ言われるものと思います。

でも結局、ミノニヨクシティにきたピギュラ(ユウヤ)自身には関係ない。知る由もない。
そして、ピギュラ(ユウヤ)は責められない(=傷つかない=戦わない)。死者が鞭打たれることはない。死者には祈りが捧げられる。

辛い作品ではあるのですが、あたたかい気持ちで溢れているのには、こういう要素もあると思いました。お母さんたちが後悔で押しつぶされていないのも良い。

●「自覚」した人たちは人の形をしている(のかな?)

人間形態をしているキャラクターたちが、ルナ / サナ / ジェミニ(微妙なライン?) / ジーキル / ギルバート
作中で人間形態になるキャラが、カラコロ→ショータ / ピギュラ→ユウヤ
ゲーム内で、この幼い2人について、ご飯を食べながらあれやこれやを知れるのは、よもつへぐいしながらいろいろ自覚しているということなのかもですね。黄泉の国とよもつへぐいは切っても切り離せない関係なので。

センセーとジョシュは、個人的には微妙なライン。2人とも幼子の死に疲れちゃったのかな。自覚しているけれど目を背けているのかもしれない。
センセーがロールシャッハ・テストなのは、「いろんな見方があって、貴方(プレイヤー)次第で善人にも悪人にも見えますよ」ってことなのかな。医者ってそういうところある……ない? インフルエンザの予防接種とか、注射を持つ先生は子どもにとって怖いだろうけれど、子どもがインフルとかにかからないように打つので。視点の問題。

ジェミニも微妙なラインですが、自覚はしている感じはするしなあ。同じく、自覚しているけれど背けているのかも。
自覚したうえで夢に溺れている時と、そんな自分を冷ややかに見ている自分がいるときがある感じがする。そんなところが好き。

因みに、最後ついてきてもらったのはジーキルでした。大人の保護者にさあ……ついてきて欲しいやん……?
ジェミニ、ギルバートと3択で迷いました。ジェミニは上記通り、ただジーキル・ギルバートに比べて若く感じたので真っ先に選択肢からいなくなっちゃった。
ギルバートも好きです。元々の気質もあるのだろうけれど、ずっとベッドの上にいたから、空想が友達。そういうところに共感を覚えました。ギルバートには共感でジーキルには憧れって感じを覚えて、だから最後はジーキル選んだ感じ。

●「ナンジノユ」

キャラごとのパーソナルスペースとしてお部屋、またお風呂(ナンジノユ)があります。
ナンジノユがその本人にしか見れないの、ゲームとしては新鮮ですけれどいいなあって思った。キャラのパーソナルスペースが守られている、作者さんのこだわりを感じる。

作者さんによると、一部キャラは、没になった過去作からということでした。
没になった過去作もやってみた~い! 上の方は悪食娘コンチータから着想を得ているのではないかと思うのですが、もう作られないかなあ。新作のSRPGの作成もされているし。SRPGが好きなので凄い楽しみです!
でも順番にやりたいから次は「END ROLL」だ!

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ミノニヨクシティ 感想

深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to 感想

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根暗な兄妹がどうでもいい世間話に興じながら深夜の町を散歩するだけのお話。(公式より引用)

実家で一人暮らしをしているオカルトライターの新の元へ、妹の括弧ちゃんが帰省してきます。昼に括弧が借りたレンタルDVDを、延滞料金なしで返す為に、二人で深夜の地元へ繰り出すお話しです。
深夜徘徊に行くまでも結構あり、深夜徘徊よりも兄妹の距離感や関係性に主軸を置いた作品。哲学をこねくりまわしたい、そんな深夜二時を少し過ぎたあたりにおすすめ作品。哲学をこねくり回すのは考える葦の特権ですから。

ここらへんから薄らネタバレ

兄妹の両親は亡くなっています。なので兄妹でありつつも、どこか親子のような、保護者と被保護者も担っている。
家族に対する、感謝とか不満とか、そういうのを全部二人で行っていたんだろうな。映画AKIRAの金田と鉄雄を思い出す。

ふたりぼっちの世界が広げていくということは、周りの壁を壊していくことと同義です。

お兄ちゃんも同性愛者だったんかな~これ。そんな気がする。
妹の性的思考を知らなかった=恋愛相談受けていなかったんだな、ってことに、多分本人が気が付いたので何となく寂しくなる。それでも括弧が今度恋人を連れてくるねという、家族が増えるという楽しみと、数少ない友達の一人を紹介していいという確かな信頼が見える終わり方をするのが暖かかったです。同作者の他作品もやります。

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深夜徘徊のための音楽 beats to relax/stray to 感想

チャップとマヨ~のバカンス 感想

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まずゲームトップ画をみて、惹かれた人はそのまま始めましょう。こんなブログなんて読んでいないで。はよ。

チャップとマヨ~はいつも仲良し、今年は早めに仕事をやっつけて長いお休みをいっしょにとりました。南の島で楽しいバカンスを過ごすはずでしたが……という導入です。
まあ導入3分もしないでわかってしまうので言うのですが、交通事故に遭ってしまうんですね。そしてそのままあの世とこの世の間にあるであろう南の島で最後のバカンスを謳歌しようとなるのです。このかわいらしい絵柄から繰り出されるブラックな世界観は控えめに言って性癖だぞい!
クリックで探索するADVなのですがEDは自分で任意のタイミングで呼び出す形のゲームです。なので心の赴くままに探索して満足したらEDに行きましょう。

探索したときの2人……人? 2キャラクターの反応がころころ変わるのがとてもいいです。きのこを食べたときの反応は必見です、おめめぐるぐる!

お気に入りキャラクターはきのこさんです、というかみんなかわいくて、ぬいぐるみ的なものが欲しいです。シュガー&ハニーも一つの指輪しかない青い人も親を待ち続ける子どもたちも良いな……ってなる。キャラクターデザインがとてもべね。同じ作者さんの他の作品も非常に気になっていたのでこれを機に全部手を出していきますわよ!

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和階堂真の事件簿 – 処刑人の楔 感想

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お題箱にておすすめしていただきました、ありがとうございます!
Switch4部作きてから遊ぼうと思っていたけれど、待ちきれなくて結局アプリで遊んじゃった。
渋い感じの推理もので、長くても2時間くらいでクリアできるくらいの長さです。

丁寧なぬるぬる動くピクセルアートが雰囲気にマッチしていてgood。ピクセル表現でなおというかなおさらというか、結構凄惨な殺人事件から物語は幕を開けます。

基本的に、情報集め→推理パート→次の現場なので、迷うことはほぼない。数が表示されているので、取りこぼしもあったら一目でわかるようになっています。
証拠などを相手に見せて証言を得る、といったようにして情報を集める箇所もあるので、ただ無心に連打している感じではなく、話をちゃんと聞いていなければなりません。推理には関係のない、ノイズ情報もあります。
とはいえ簡潔で無駄がなく、推理パートでも主人公と随一答え合わせをしながら進めていくので、話が理解しやすいです。

主人公と推理をしていくからこそ作中で引っかかった点もあるのですが、ちゃんと最後で回収されて、見事にまとまっていました。シンプルでやりやすくて、面白かった。良い作品です。2作目、3作目もやろ!

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