レイジングループ 感想

レイジングループ

公式サイトはこちら。

バイク旅行中の房石陽明は、見慣れぬ田舎の土地で道に迷ってしまいます。バイクもやられるわ携帯の電波も届かないわの川に突っ込むわのさんざんな目に遭っている彼の目の前に現れたのは、芹沢千枝実という女の子。彼女の助けで藤良村にある休水という集落で休めることになりましたが、そこは「おおかみ」信仰の息づく因習村なのでした……
殺人儀式「黄泉忌みの宴」に巻き込まれ、謎の生物によって殺された彼は、しかし直後にバイクで道に迷っているところに逆行し……生きている状態でまた休水の土地へ足を踏み入れることになります。
数多のループの果てに、彼は惨劇を回避し、この事件を解決できるのでしょうか。

■

人狼ゲームをうまい具合に物語に落とし込んだノベルゲームです。しっかり人狼ゲームのルールに則っている、というわけではない箇所もあるのですが、「人狼ゲームがリアルにあれば、まあこうなるよね」とむしろ納得します。
ただ、ちょっと後半に行くにつれて「なん……なんか、思ってたんと少しちゃうな……」ってなりました。

というのも、いろいろあるのですが、代表としては最後の部分だけ納得がいかない。なんというか、メアリー・スーキャラがいるんですよね。そいつがいたから何とかなったぜ! ハッピーエンド! なのが消化不良でした。同ライターの他ゲームにも出ているようなので、明確にお気に入りキャラなのだと思います。
ただ、いろいろ見ていたら、批判集まり過ぎてライターさんが反省するレベルだったっぽい? ので、まあ自分がこれ以上言う必要はないでしょう……
人を選ぶノリも結構あり、個人的にはキツい箇所もあったのですが、それでも物語全体としてかなり面白かったです。
物語としての吸引力が凄く、気が付いたら夢中で読んでいる類の作品です。ただ、人狼ゲーム要素は期待しない方が良いかも。「人狼ゲームがリアルであったら」を考えるのが好きな人におすすめです。あと、後期クイーン的問題がだめなひとはだめだと思います。

●房石陽明

本名を偽っているのがわかった結婚詐欺シーンは、ドン引きする女性陣の様子も含めて最高でした。最高だったんだけどね……そのあとのめー子で割とマジで冷めてしまった。
後期クイーン的問題の第二問題の方については、自分は否定的ではないので(めちゃ連続で体験したら流石に否定的になるかも。1作に限った話をする時、第一問題については否定的ですが、第二問題についてはその回答もありだろうと思っています)、陽明が最後に出した解決策は割と好き。ループの中で、彼なりに宴の参加者たちに愛着が湧いたんだと思います。本名不明の作家さんとして、主人公「房石陽明」が関わる駒たちに対しての愛着というのかな。「信じてください」はその人たちに対して、物語を解決したい(=解決したその先が知りたい)主人公「房石陽明」として誠実に出た言葉なのではないかと思います。
狼じじいの対しても、そういう意味での愛着はあるだろうけれど、主人公「房石陽明」としてこいつ~~~と思うところはあるにはあるんだろうなと思わせるのが少し安心します。

「分からないことを知りたい」という飽くなき知的好奇心と、トライアンドエラーを苦にしない性格がループに合っていたんだなあ、と思います。まどかちゃんいないほむらちゃんなのに折れる気配がない、なんで? 廻天まだ見ていないですゴメン。
あと、倫理のオンオフできるあたりも、「房石陽明」を本名と切り離して考えられるからなのかなと思いました。時々見誤るっぽいけど。思い返してみれば最初から「こいつら!! ゲーム攻略に対して誠実であれ!!!!」みたいな感じでキレていたの、笑う。

●芹沢千枝実

あまり好きになれないヒロインだったのですが、まああの主人公ならお前しかヒロインおらんな……感もある。いやまあ千枝実の反応が正しい、房石陽明のSAN値が高すぎる。まどかちゃんいないほむらちゃんなのに折れる気配のないあいつ、本当何?
黄泉のエンディングが絶頂でしたね。宴の参加者たちを駒扱いしているのは陽明も千枝実も変わらないと思うのですが、なんていうんだろうな、宴や駒に対して誠実でないと言えばいいのか? そういうところがあまり好きになれなかったなあと思います。なんだろうなー。陽明や李花子は彼(女)らなりに宴の参加者たちを同一視して愛しているんですよね。千枝実はループの中での宴の参加者と、抜け出した後の参加者とを分けて見ている感じがする。同一キャラの駒とプレイヤーを一致させていないというか。

●回末李花子

ぽんこつかわいい。ゆめのつちぐもとも回末家にとらわれていた彼女が「李花子」個人生きていけるのだろうか、という心配がありますが、能里がおるから大丈夫やろと思います。クリアしたプレイヤーは彼に対する信頼がすごくなることでしょう。

●巻島春

狂人の出現方法がとても面白いと思った、ゲームと物語がうまくかみ合わさった要素の一つだと思います。
思春期の女の子って感じの態度だったので、そりゃ突然やってきてお姉ちゃんと距離が近いチャラい男はあまり印象良くないわなと思っていたら、割とそうでもなかった。マジ!?
暗黒の春ちゃんと房石陽明の関係が好きです。「悪人」になって初めておじいちゃんの死に涙を流すことができる春ちゃん、良いよね……
暗黒の疑似恋人陣営をしているところも好きです。レイジングループという盤上において、あの嘘は非常に効果的に働いているのが好きです。おそろいのペンライトと、それを捨てることができなかった春ちゃんというところから発覚してしまうのですが、その切ない甘さが事態や人狼の仄暗さととマッチして…………

●巻島寛造

(過去の宴を考えたらあの態度も)そらそうよ。孫娘に対して正面からぶつかるべきなのだけれど、お互いにそれが難しすぎた。取り巻く環境が悪すぎる。
基本的に春ちゃんを優先して動いているのに、宴に対しては誠実で、だからこそ暗黒で悪意にはまってしまったんだろうなとか、最後は筋を通して潔かったんだろうなとか、真相ルートでも春ちゃんを括ったんだろうなとか、とかとか。

●山脇多恵

人狼において流されるのは良くないってはっきりわかる。
陽明参加の宴の際に「後で説明したげるから」とちゃんと言ってくれるのは悪い人ではないんだなと思いました。なんだろう、よそものは嫌いだけれど、それでも理不尽な宴に巻き込まれるよそものに対する同情や説明義務が自分にはある(全てを知っているわけではない)という意識がちゃんとある、と言えば良いでしょうか。

●織部かおり

匠さんとの再婚を真剣に考えていてくれていて良かった。かおりさんの方がちょっと姐さん?
母強しの体現者でした。暗黒の、一見頼りにならなさそうだけどそんなことはなくて、でもちょっと過激すぎるので厄介なことに変わりはないという彼女が好きです。

●織部泰長

「正しくありたい人」彼が、「正しさ」について悩みつつ時々爆発するのが良かった。お前の年齢なんて耐え切れずに爆発してなんぼなんだ。頭が良く人当たりも良い(し、村内分を客観的に見ることもできる)のですが、経験が追い付いていないのはそれはそうで、ここから外の世界をたくさん知って欲しいと思いました。
最後に自分がやりたいことについて正直になれたのが良かったし、それに気が付くきっかけをくれた女性(別世界だけど)に惹かれるのがすごく良かったな…..愛情深い年上女性が好きなんだろうな。若くして父的役割をしなくちゃいけなくて母に甘える期間が少なかったから、ってのはありそう。未来に向かって歩け、若人。

●織部義次

兄と共に生き残る(死ぬけど)ルートで、兄の盾であり剣であることを当然のように実行している所ところが好きでした。それはそれとして兄が定規になってはいけない、未来に向かって歩け、若人。

●醸田近望

本作、物語中では相手が幸せであるのなら片想いであることを甘んじて受け入れる男が多すぎる、ライターの性癖?
モッチーに関しては「仲良し三人組を壊したくない」という気持ちの方が強く、それを維持するためなら自分自身の感情を犠牲にできるのですが、そもそもそれを犠牲にしなくても仲良し三人組は存在するし両立するしその犠牲で君は確実にすり減っていたよねすり減るよね気が付いているよね、って人から言われて受け止められたのが良いなと思いました。キキョーのせんぱいからのアドバイス。

●室匠

房石陽明のことを「善人じゃないし敵対したらすごく厄介な奴だけど、誠意と智慧を見せたから少なくとも今この場では信頼できる」という判断に痺れました。主人公こうしてみると、割といろんな人から本質見抜かれている感じありますね。
彼がいなくなると大人と子どもの対立が取り返しのつかないところまで行ってしまう。かおりさんとの恋路に専念できると良いですね。

●能里清之介

常に気高くあるのが本当に好き、死ぬ間際でさえ気高く、次の手に託すところが好き。ただマジでいろいろワンテンポ遅い……!!
能里家の落ちこぼれという意味合いは分かりますし、休水の人たちが陰口を叩いてるのは「田舎ってそうだよね」とは思うのですが、言っちゃあれだけどその人たちよりも頭が良いし優秀だし、田舎ってクソだなという感想に落ち着いてしまいました。そんな彼が李花子を引き取る形で地元を離れることができたのは本当に良かった。素の李花子に対して「ずっとそうしたかったんだね、これからはしていいから。できるから」「それはそれとして多少は自分の話(意見)聞いてね」みたいになるのは、本当に彼女を心から想っているんだなあと泣きそうになりました。
兄に対して笑いながら「祟られるからやめておけ」っていうのも良いですね。休水の人たちに対して、彼なりに折り合いが付けられたのかなあという気持ちにもなりました。

●狼じじい

「元々の黄泉忌みの宴の目的である私刑制度と同じ使い方をされた」がめっちゃなるほどなあと思いました。魔女狩りにもそういう側面合ったりしたのかなあ。
救われない、救っちゃいけない男。自分が救われる側だなんて思ってもいなかったんだろうな。

●めー子

後期クイーン的問題の第一問題の方について否定的なので、当然のようにめー子も最後の一幕でうーん……になりました。最初はデウスエクスマキナかなと思いましたが、同ライターの他作品に出ていることを考えるとメアリー・スーとか後期クイーン的問題の第一問題の方が適切かと思います。

幼女なのでとりあえずの投票先に選ばれないのはそれはそう、めー子が作った罠に躓いて死ぬ狼じじいの結末のどうしようもなさとかは好きです。
あとめー子むじな回の三車の対応。因習村に辟易しているのはそれはそうなんよね、内側から変えることがとてもとてもとっても疲れるし難しいからなんよね。いや、それでも幼女を巻き込んでいい理由にはならない……

エクストラの後日談でふさゆきさんが忘れられない人になっている点は好き。まじでな、メインの最後が…………

●馬宮久子

自分は民族学好きでしてね~~~作中もながら後日談できさらぎ駅に黄泉竈食にクトゥルフにで楽しかったです。
泰長とのCPも良かった。だんだん絆されてほしい。数年経って「もうおばさんよ?」とか言いながら満更でもなく、押しに負けて結婚し、おしどり夫婦として名を馳せて欲しい。これは俺の性癖。

作中での、理性の高さゆえの「無くなった銃がどこにあるか調べるべき」が狼発見の理由に繋がるの、アッアアッアッとなりつつも春ちゃん責められない俺もいてェ……面白いとかやばいとか春ちゃんの反応が辛いとかいろんな感情が入り混じって「あ~~~~~~~~!!!!!」ってなったシーンでした。
あと馬宮⇔橋本の信頼が全体的に高くて良かった、本当に普段から信頼し合っているんだろうな。恋愛感情のないバディ!

●橋本雄大

黄泉忌みの宴経験者か? 時報にならないカメラマンつよ。ひぐらし履修中です!
「奥さんと娘がいるから帰らないと」と言いつつ、馬宮を生き残らせることを優先していくのが大人の男性として偉すぎると思いました。バディとしても理想すぎる。

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個人的には「賛否両論」に落ち着く作品だったかもしれません。判断が難しいよ~~~面白くはあったのですが……

がんばれ!ミトラ神 感想

がんばれ!ミトラ神
製作者: おしゃき
掲載サイト: ノベルゲームコレクション

紀元後4世紀、古代ローマ……
オリエントに起源を持つ太陽神ミトラを崇拝する密儀宗教・ミトラ教は、新しき神の教団に脅かされていた。
密儀の存続を懸けて、神は立ち上がる。
信徒を訪ね、異教の存在と戦い、失われた信仰を回復しよう!
(公式の説明より引用)

ミトラ教またはミトラス教、ミスラス教など。太陽神ミトラを信仰する宗教。
くらいのイメージしかありませんでした。というのもキリスト教に吸収された宗教です。今日のキリスト教にも薄ら残っているとはいえ、「キリスト教に消された宗教」に対する知識のなさは、キリスト教に馴染みが薄い日本だとなおさらかと思われます。また、これはクリア後に調べた知識ではありますが、密儀宗教だった+女人禁止っぽかったということもあり、普遍的な宗教ではなかったのだなあ、と感じました。
比較的マイナーな宗教・神さまですがわかりやすくその盛衰を知れる作品でした。
参考資料の明記がちゃんとあるのもありがたい。他のゲームもがっつり歴史の勉強ができるような作品で、複数の神さまが登場する。参考文献の数凄そう。作者さんの愛も感じられる、今から楽しみです。

YELLOW LIQUID 感想

YELLOW LIQUID
製作者: mumu
掲載サイト: ノベルゲームコレクション

良く思いついたなこんなゲーム(褒めている)。

しっぽからガソリンを出す女の子のゲームです。
ガソリンです。

ガソリンが漏れそうになるのを我慢する可愛い女の子たちのゲームです。
ガソリンです。

そんな女の子たちに「(ガソリンを)出していいよ」ってするゲームです。
ガソリンです。

ぎ、技術力と発想力のある紳士……! とは思いつつ、全年齢でのちょっと危ない匂わせ程度(ヤンジャン程度)で終わるので、個人的に好みでした。ドット絵かわいいし……可愛い女の子大好きだし……なんだかんだで俺もこういう設定好きなので……

え、この作者さんにもっと作って欲しい……ちょっとえっちなSSノベルゲームもっと欲しい……

ケートス号にまつわる記録 感想

ケートス号にまつわる記録
製作者: 凡
掲載サイト: ノベルゲームコレクション

公式サイトはこちら。

発狂したAI搭載無人潜水艦「ケートス号」。かつて戦争を終わらせた彼女は、人を狂わせる歌を歌うようになってしまった。
人類はケートス号の監視のため、死刑囚を乗せた潜水艦を送り出すが……

めっちゃおもしれ~~~! こんなブログ読んでないではよやれ~~~! プレイしてから帰ってきてくれると嬉しい(小声)。
SFとパニックホラーが混ざった世界観、問題だらけだけど魅力的な乗組員たち。潜水艦を舞台とした映画のような良作短編ゲームでした。「Return of the Obra Dinn」リスペクトだったりする? まだやってなくてごめん。
同じ作者さんの他ゲームもやりたいです。この前Twitterで話題になっていたあのゲームの作者さんだったのか。

●北神(END1「52Hzの沈黙」)

全く精神汚染されなかったのも、彼にとっては妻と対話していたからなんでしょうね。妻に会いたかったからわざと囚人になったような気がします。
考えてみたら歌っていたしずっと精神汚染0だし、割と最初からわかるようになっていた。そういうのだいすき。

●東斬(END2「鬼神墜つ」)

詳しくは南波のところでも語りますが、東斬の弟=南波だと思っており、殺した女=AI化する前の主人公だと思っています。
それを踏まえたうえで、東斬が最後にすがる相手がその女(だったもの)、東斬が切り捨てた愛に飢えていたことを悟ること。因果応報だなあというか、尊厳凌辱というか、作者の癖だな、と思いました。俺も嫌いじゃないぜ。AIに「呆れた」という表現を使わせているのも徹底しているなと思いました。

●西海(END3「水泡に帰す」)

主人公をAI化させたのは彼だと思っています。
北神のことを憎んで追いかけて奥さんもAIにしたのに、自分のことを歯牙にもかけていなかったし、一人で自死してしまった。
国に捨てられたこともあって、「可哀想が可愛い」枠だったと思います。

●南波(END4「うつろ船」)

南波の過去には改竄した形跡があるとのことでしたが、これってもしかして、主人公が自分の愛した女性を使用したAIだったと知って会いたいから罪を犯したのか、他の乗船予定だった人のデータを乗っ取ったのか(リボーンの骸とランチアみたいな)だったのかなって思います。

好きだと言えなかったとあるので、殺された女性とは恋仲になる前だったんだろうなあ。
プログラムが指輪、人差し指なんだね……ってちょっぴり切なくなった。主人公のことを知った日から用意していたのかな。お前の愛した俺じゃなくても愛してくれてありがとうな……

殺人探偵ジャック・ザ・リッパー 感想

殺人探偵ジャック・ザ・リッパー

公式サイトはこちら。

私立探偵「アーサー・ヒューイット」は連続殺人事件の調査中、死体を発見した強いショックからか「切り裂きジャック」を自称する別人格の存在を近くする。
奇妙な相棒を得たアーサーを中心に巻き起こる数々の事件は、やがてロンドンに蠢く闇に集束していく。

探偵として理知的に調査し、犯罪者の罪を暴くのか。
殺人鬼の昂る衝動に任せ、犯罪者を自らの手で裁くのか。

本当にその選択は正しいものだったのか。
後悔に苛まれない様によく考えろ。

選べ、善か悪か――。
(公式サイトより)

ロンドン(我々の世界の19世紀ロンドンではない)で探偵としての道か殺人鬼としての道か選べというゲームなのですが、正直「探偵ルート」と「殺人者ルート」の分岐がうまく生かしきれていないと思いました。
ちょいちょいの差分と各章の終わり方、そして終盤が違うのですが……なんだろうな、周りの人からの反応は終盤の終盤まで変わらないというか。ヒロインがマフィアと自警団の二人いるのですが、そのあたりの反応というか。

箇所箇所が雑なのも個人的にうーん……。マフィアのヒロインは左手にタトゥーをしているのですが、立ち絵によっては右手になる。立ち絵反転させているからだと思います。
あとはセーブに連打が必要なUIだったり、誤字があったり、周回させる作りなのに既読スキップができなかったり(既読未読関係なしの全スキップになります)。

で、「どっちのルートも違ってどっちも良い」という感じではなくて片方にトゥルーエンドみを感じてもやもや。
あと、推理物ではなく、サスペンスとかそういうジャンルなので、「思っていたと違った」パターンはちょっとあるかも。日本一あるあるですね。

絵は良い、特に腕の筋とかめっちゃ良いです。
ストーリー的にはもう少し富裕層視点の味方キャラいても良かったんじゃないかな、と思います。ジャックザリッパーがモチーフだからなのか、貧困層出身キャラ/寄り添うキャラが多かった印象。
キャラを好きになれるかどうかでだいぶ印象が変わるゲームだと思います。全体的に序盤で全体的にキャラヘイトが貯まるつくり。

終盤には涙ぐむところもあったのですが、それに至るまでが長いというか、そこまでに挫折する人や、片方のルート見てもう良いやってなる人も多そうだなあという印象でした。日本一の良いところと悪いところが出ているよ。

●主人公たち+診療所組

探偵ルートの終わり方はバディものとして良かった。殺人鬼ルートはなんというか、自暴自棄感が凄くて……先に見れば印象変わったかもしれない。(探偵→殺人鬼→いろいろ回収、の順番でプレイしました)

元ネタの方のジャックザリッパーの正体説の1つにウォルター・シッカートがいるので、ウォルターの元ネタはそれかな。元々黒幕の予定だったようだし。
ソフィーの初恋がアーサーなんじゃないかなって思いながら見ていました。毎日「今日はアーサー来る日だったっけ、どうだっけ。予約していない日でも会いに来てくれるかな」みたいに思っていたのかなと想像して、サブストーリーの彼女に想いを馳せて、勝手に苦しくなってた……

●マフィア組

ヒロインレースはどうしても、ゲーム開始時の前提や秘密共有しているためにローリィの方が強い印象。自分もローリィの方が好きでしたが、シャーロットが割食っちゃうなあという感じでした。シャーロットは結婚EDでも秘密を明かすことはないので……あと見せ場がね、どうしてもこっちの方がかっこよくなる印象がありましたね。

Extraでのゴンザレスとミシェル先生の組み合わせが個人的に良かった。割と尻に敷いてそう。

●警察組

ハリーが好きでした。腕がどうのこうのでばれている気がする。ハリーが過去に救えなくてずっと未練と化している死んだ恋人とかになりてぇよ俺。

殺人鬼ルートでどうしてもさ~、直接的にではないにしろシャーロットが原因でローリィが死んじゃうのがさ~…………ヘイト管理として難しいところだな、なんて思いました。
殺人鬼ルートでも「人を疑うことも時には大事だよ」「それでも私は、これこれこういう理由で疑いたくない」みたいなやりとりをがっつりする章がその前にあればよかったかもですね。シャーロット自身もこれで良いのかな……みたいな感じになって、その後最悪な形でその予感が当たってしまい「ちが……私こんなつもりじゃ……」になってたので。

夜、灯す 感想

夜、灯す

公式サイトはこちら。

かつてお嬢様学校と呼ばれていた歴史ある学校、神楽原女学園。
その昔、お互いの一番大事なものを交換して、卒業まで姉妹の契約をする「疑似姉妹」制度がありました。
卒業までのその特別な関係を、永遠のものにしたかったとある疑似姉妹が心中を図ったことにより、学校側から禁止されることに。彼女たちの心中はただの事故死と処理され、離れ離れ。
月日は流れ、ゲームの舞台である現代では疑似姉妹制度は残っていません。

さて、現代の神楽原女学園で筝曲部に通う「十六夜鈴」は、とある日から「お姉さま」が出てくる不思議な夢を見るようになります。
夏休みに入って間もないころ、休み明けのコンクールに向けて特訓する筝曲部のもとに、転校生「皇有華」が入部することになりました。彼女は筝曲界トップの弟子数を誇る流派の娘である皇流の家元の娘。
しかし、「楽しく」をモットーにしている筝曲部の演奏は、彼女にとって音楽への侮辱に聞こえました。
孤立する有華をなんとかしたいと頭を悩ます部長と鈴。そんななか、有華から呼び出された部長が、旧校舎の2階から転落して血まみれで見つかります。しかし有華は呼び出していないとのこと。

部長に危害を加えたのは誰なのか。筝曲部に何が起こっているのか。鈴が見ている夢はいったい何なのか。
休み明けのコンクールはどうなるのか。孤立する有華はどうなるのか。

そんな感じの作品です。が!
中身は百合ホラーというよりも、スポ根ものです。百合ホラーは序盤で終わりますので、パケ買いした人とかは「お、思ってたんとちゃう……!」ってなると思います。ただ、スポ根ものとしては良作なので、どういうジャンルのゲームなのかわかった上で遊ぶのが良いと思います。

●十六夜 鈴

スポ根ものになる要因の6-7割くらいこの子。くっそ前向き。なかなか耽美という言葉を置いてきた感じのパワフルガール、良いと思う。鈴ちゃんがいないと筝曲部すぐに瓦解してそう(小声)

●皇 有華

有華ちゃんの最初の孤立、ソリストとオーケストラの違いのようなものなので、仕方なくない!?!? ってなっていました。自分はどちらもやったことあるのですが、向き不向き・才能みたいなものなので仕方ないよ……言い方が悪いのはまああるのですが。
でも有華ちゃん自身が一緒に弾いて楽しいってなるなら、まあ俺が口を挟むことではない……。この部分がどうにも引っかかってずっともやってました。

●青柳 真弥

真弥ちゃんだけ音量が小さいんだよな~! いろんな方が言及していますがちょっと気になる。

ちょっと記号的に使われているキャラ+見せ場が終わったらギャグ要員にされたたように感じてもやもや。有華ちゃんに本音でぶつかっていくところが好きでした。大好きな子の一番が取られちゃうって気持ち凄いわかる~……田舎だと余計に閉鎖空間だしな~……そこから百合好きになるとは思っていませんでしたね

●舞原 累

有華ちゃんに秒で感情移入していたので「こ、こいつ……!」となっていました。才能あった陸上を取り上げられたところに手を差し伸べてくれた人に危害を加えていたかもしれないって思えばそりゃまあねって感じなのですが。

●田鎖 麗子

何の楽器が一番好きなんだろう、やっぱり今はお琴なんですかね
お姉さまのことがあったなら有華ちゃんと初対面の時にもう少し反応しても良いような……なんて思ったり。累との百合を押し出したいだろうから、そういう意味でも削ったんじゃないかな~と邪推。キャラ自体は割と好き……というか、もしかして俺が長髪好きなだけ……!?

●お姉さまとおばあちゃん

どのEDでも割と好きでした。

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まとめるとどうしても「ジャンル注意だぜ!!」になる作品ですね

コーヒートーク(COFFEE TALK) 感想

Coffee Talk

公式サイトはこちら。

心と心をかよわせる、一杯のコーヒーからはじまるストーリー

深夜のみ営業する喫茶店「コーヒートーク」のマスター兼バリスタとして、お店を訪れる様々な来訪者に飲み物を提供し、時に雑談を、時に人生相談を受けながら、世界の片隅で生きていく。そんなゲームです。

制作中に「VA-11 Hall-A」のクリエイターからアドバイスを受けたこともあるそうで。「VA-11 Hall-A」フォロワーゲーム? ライクゲーム? というやつですね。「VA-11 Hall-A」の感想はこちら。

しかし似ているようで、操作感も物語も世界観も割と違います。お酒か喫茶店かの違いに伴うように。
「VA-11 Hall-A」と違い最初からレシピはわからないので(一度作成/提供までしないとアンロックされない)、そこは少し難しいです。あと「VA-11 Hall-A」は材料が順不同だったのに対して、「Coffee Talk」では順番が大事になっており、同じ材料でも入れる順番によって違うドリンクが出来上がります。少し難しいところ。
また、レシピにそもそも存在しないドリンクも、客から求められるし、求められる以上は作ることができるので、そこも少し難しいかな。話の作り上2週した方が良いとは思うので、1週目は何も見ずに気ままに、2週目に何かしらを見ながらプレイしても良いのではないでしょうか。のんびりとね!

本格的なバリスタではありませんが、喫茶店でバイトしていたことがあるので、その時を思い出しながらラテアートしていました。コツはミルクの泡のキメを細かくすることとミルクを注ぐ角度です。言わずもがな温度管理も大切です。まあ、本作はミルクをフォームしないんだけどね! 現実世界のラテアートより難しかったぞ。

episode2開発中に作者であるモハメド氏が若くして亡くなってしまうなどの不幸がありましたが、ありがたいことに開発は続くようです。寄付セールしていましたが、2の売り上げも一部、遺族に寄付されると良いな。ぜひ発売されたタイミングで購入したいと思います。

以下、ネタバレあり感想。

●フレイヤ

パケ絵と実際の彼女とを見比べると、なんか違和感というか別人に見えるよね。なんでだろう。実際の方が微妙にボーイッシュというか刈上げのように見えるのですけれども、でも「フレイヤ」らしいのは実際の方と思います。

さっぱりとして気持ちが良いキャラ。最初はハイテンションに驚いてしまうのですが、人を傷付けない前向きさ。時折突拍子もないことを言いだしますが、フレイヤだから許せちゃう。「主人公」の項目でも語りますが、否定しないからだろうな。驚いても「うんうんそういうのもあるよね」っていう方向に持って行く子というか。
「VA-11 Hall-A」でいうドロシーみたいな感じかな~。はちゃめちゃに好き! って感じではないんですけれど、しみじみと「好きだな……」ってなるキャラです。

●ガラ・ハイド

半世紀の仲だけあって、互いのことをわかっている。多少毒づいたりわがままを言い合えるように関係で、それを互いに許容できる関係。
いやまじで、あのハイドがAVの話題を出せて、かつ、ガラにからかわれる、みたいなのが堪らなくイイ。俺がやったら殺されるじゃん……?

ハイドは、ガラのことを恋愛対象として好きだった(あるいは現在好き)時期があると思います。ガラはどうなんだろうな。全てわかっていてあえて友人の距離感を保ち続けているのかもしれないし。案外、ルアとベイリースのことを二人も言えないのかもしれませんね。付き合いが長すぎて関係性を壊してもなあ、みたいな。

●ベイリース・ルア

思っていたよりも、真っ当というか、「普通の大学生」らしい出会い方をしていた二人。最初気にしなかった相手がいつの間にか特別になり、悲劇に酔っているわけでもなく。ロミオとジュリエットだから恋に落ちたのではなくて、ベイリースとルアだったから恋に落ちていた。そこが好きなんですよ。
個人的に気になるというか引っかかるのは、ベイリースがルアと同年代なのか、長寿感覚的な若者なのかがいまいちわからないんだよな。それぞれを匂わす発言が作中であったので……。

出会いは悲劇に酔っていたわけではないけれど、世間さまにロミジュリに見られて、愛し合っているのにずっと苦しんでいた二人。人生の先駆者たちに出会い、種族や価値観の違いに悩みながらも、互いを選ぶことが出来た二人。直面しなくてはいけない問題はまだまだあるけれど、いろんなことに悩みながらも頑張って欲しいな。
個人的にルアが、だって彼のこと好きよ! って感情を爆発させるシーンがとても好きなんですよね。言えたじゃねえか……ってなる。どこ目線?

ルアのルームメイトはマートルとアクアのどっちだろう~。性格的にはマートルの方が合いそう。

●マートル・アクア

マートルは常識人。
マートルは実際にニールと出会い系アプリで会う予定だった子だと思いますが、いざ出会ってみれば思わず他人のふりをする。まあ一般的な反応ですよね。でもニールが困っているのを見て相談に乗ってくれるあたり、優しい子だよねえ。ニールが何だか見ていて放っておけないということもありますが、アクアの人柄(人魚柄)といい、マートルは面倒見が良い。

アクアは物語が進むにつれ、SNSのアイコンがどんどん「自分に自信のある女の子」のものになっていく。これは嫌味でもなんでもなくて、アクアの最初のアイコンに比べて明確に違うんですよ。学会の発表の場という、「素人質問で恐縮ですが……」をされる場所に立っているときの緊張の表情をしている写真(=めちゃくちゃ武装している状態の自分)から、マートルというパートナーとのプリクラのアイコン(=オフの表情をしている自分)に代わる。
パートナーができて「自分の絶対的な味方が(家族以外に)いる」ということが彼女の自信につながり、「オフの自分」も認められたというかというか自分自身で愛せるようになり、だからオフの自分をアイコンにすることができた。
研究者としてのアクアはチームの一員で、だからこそ頑張れるというのもあるのでしょうが、逆に言うと個人の自分には自信が持てなかったのです。グループのアクアにも個人のアクアにも自信が持てるようになった写真でした。奨学金大変だよね、わかるよ……。

●レイチェル・ヘンドリー・ジョルジ

若い娘さんとおっさんたち。

ヘンドリーが少し行き過ぎている感じがして少し不快ではあったのですが、ヘンドリーは業界の闇を知っているし、過去に自分が担当した子たちを守り切れなかった、みたいな後悔の念もあったのではないかな、と思います。ヘンドリーが復帰したならレイチェルも、健全に、少しずつだけど確実に、業界で大きくなっていけるでしょう。

レイチェルは「VA-11 Hall-A」のミキみたいなアイドルキャラなのですが、ミキみたいにぶっとんでいるわけではなく、アイドルということを除けば等身大の女の子なので、いろんなことに悩んでいる。ミキは一見してわからない螺子が外れているからこそ、あそこまで出来るみたいなところはあるので……そこが好きなんだけれども……。

二人のぎこちない距離感を、ジョルジ(とフレイヤ)がうまく繋げてくれるのが良かった。ジョルジ、いいキャラですよね……。ジョルジの話を聞いているうちに、プレイヤーとしても、ヘンドリーとレイチェル両方の気持ちを汲むことが出来て落ち着いてくる。
ヘンドリーにミルク以外を出せばルートがbadEDに分岐するようですが、2週目だろうと俺にはそんなこと出来なかった……。現実世界の犬と猫よ、幸せであれ……悪意に晒されるな……。

●ニール

本作で異邦人である彼は、その価値観の違いから、時としてゲーム内キャラクターたちにとっても異質もプレイヤーである私たちにとっても、なかなかに異質な存在に見えます。そのようにキャラクター化されています。
しかしそのまっすぐさ故というか、登場人物たちの人の良さというか、両方というか。印象に残るキャラで蟻、そしてそれは悪い印象ではない。見ていてほっこりするんですよねえ。

エージェントは何????

●主人公

ニールのスーパーマン計画で生まれた子だと思っています。それがタイムトラベルして生まれる前の過去に来ている。

主人公がニールのスーパーマンだとしたら、ではその場合、父親はニールだとして、母親は誰になるのか、という問題。
フレイヤだと思います。

フレイヤは最初こそ戸惑ってはいますが、ニールのスーパーマン計画に対する偏見が少ない。ひいてはニールに交際(というか子作り)を求められた時も、別に否定はしていないんですよね、カルチャーギャップに驚いてはいるものの。その考え方やありかたを否定していない。

主人公がお金持ちだったのも、フレイヤが将来大作家になったとか,人間に擬態しているニールの医者としての稼ぎとか、そんなんじゃないかなあ。腕っぷしが強いっぽいのもニール譲りな気がシマス。ご都合主義に見せかけてご都合主義じゃなかった。

主人公がタイムトラベルをしているのは、両親が出会う喫茶店を守るため。この喫茶店がなくなると両親が出会った=結ばれたという事実がなくなり、主人公が生まれてこない。ひいてはスーパーマンが誕生してこないということになり、地球が消滅する。で、それを阻止するために主人公はタイムトラベルしているのではないかと思っています。スーパーマンとしてね。
スーパーマンと両親の出会い、どっちが先だったのかは、鶏か卵か問題。というか、最初はバーが潰れていなかったのかも。

「VA-11 Hall-A」と違い、主人公=プレイヤーと見せかけておきながらのこの展開ですので、正直賛否両論はあると思います。個人的にはまあありだと思いました。
2週目が「ぼろ出しまくっていた周回の話を回想する」という会話分岐があったのは面白かったです。うまくいかなかった周回、結構あるんだろうな……。まどマギか?

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決定しているEpisode2も楽しみだな~。「N1RV Ann-A」みたいに、正確にいつ来るのかはわかりませんが、何か「N1RV Ann-A」より早く来そうな気がするのはどうしてでしょうね。

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はこにわのみこ 感想

はこにわのみこ
製作者: ななづこ
掲載サイト: ノベルゲームコレクション

小さな村の小さな部屋に住む小さな女の子「アニー」。そんな女の子がマイペースな悪魔「クロ」と出会ってからの日々を、こっそり見守るノベルゲームです。
すき間時間にさくっとクリアできるくらいの長さですので、次の段落から普通にネタバレありで書いていきます。ぜひ未プレイの方は、まずプレイしてきていただきたいと思います。

◆以下ネタバレあり。

アニーは教会のシスターに育てられて軟禁状態です。
彼女は御子として扱われることに傍観し過ぎてしまっていて、「悲しむ」ということも、もう諦めてしまっています。
シスターに対して「私の話全然聞いてくれないもんなー」となっていてからのクロに対して「話を聞いてくれる」と言っていたことの意味に、2週目で気が付いてほんまにアッアッアッとなりました。

アニーは次第に日記に書けないことが増えてきます。日記の中の自由さえも、彼女にはなくなっていくからです。クロのことや、自分が「自分は神の御子ではないと思っている」といったことはおろか、2週目でゼブの実のことも書けなくなっていたことに気が付いたのは流石に苦しくなった。好きな食べ物さえも、あんな小さな女の子が偽らなくちゃいけないのは、やっぱり苦しいよ。

クロとアニーの距離感が良いですね。あくまで(駄洒落じゃないです)見守るだけで、選択権はアニーから手放させないつもりのクロ。これがシスターたちとは違うところで、アニーに本当に必要だったものだと思います。

最後自分の意志で自分の力で出て行っていて本当に良かった~! 最初教会に行くための準備なのかと思って切なくなったので……。
花も果実も絵画も、クロからもらったものを全部持っていくアニーがかわいい。どんどん自分のものを増やしていって欲しいと思います。

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