殺人探偵ジャック・ザ・リッパー 感想

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私立探偵「アーサー・ヒューイット」は連続殺人事件の調査中、死体を発見した強いショックからか「切り裂きジャック」を自称する別人格の存在を近くする。
奇妙な相棒を得たアーサーを中心に巻き起こる数々の事件は、やがてロンドンに蠢く闇に集束していく。

探偵として理知的に調査し、犯罪者の罪を暴くのか。
殺人鬼の昂る衝動に任せ、犯罪者を自らの手で裁くのか。

本当にその選択は正しいものだったのか。
後悔に苛まれない様によく考えろ。

選べ、善か悪か――。
(公式サイトより)

ロンドン(我々の世界の19世紀ロンドンではない)で探偵としての道か殺人鬼としての道か選べというゲームなのですが、正直「探偵ルート」と「殺人者ルート」の分岐がうまく生かしきれていないと思いました。
ちょいちょいの差分と各章の終わり方、そして終盤が違うのですが……なんだろうな、周りの人からの反応は終盤の終盤まで変わらないというか。ヒロインがマフィアと自警団の二人いるのですが、そのあたりの反応というか。

箇所箇所が雑なのも個人的にうーん……。マフィアのヒロインは左手にタトゥーをしているのですが、立ち絵によっては右手になる。立ち絵反転させているからだと思います。
あとはセーブに連打が必要なUIだったり、誤字があったり、周回させる作りなのに既読スキップができなかったり(既読未読関係なしの全スキップになります)。

で、「どっちのルートも違ってどっちも良い」という感じではなくて片方にトゥルーエンドみを感じてもやもや。
あと、推理物ではなく、サスペンスとかそういうジャンルなので、「思っていたと違った」パターンはちょっとあるかも。日本一あるあるですね。

絵は良い、特に腕の筋とかめっちゃ良いです。
ストーリー的にはもう少し富裕層視点の味方キャラいても良かったんじゃないかな、と思います。ジャックザリッパーがモチーフだからなのか、貧困層出身キャラ/寄り添うキャラが多かった印象。
キャラを好きになれるかどうかでだいぶ印象が変わるゲームだと思います。全体的に序盤で全体的にキャラヘイトが貯まるつくり。

終盤には涙ぐむところもあったのですが、それに至るまでが長いというか、そこまでに挫折する人や、片方のルート見てもう良いやってなる人も多そうだなあという印象でした。日本一の良いところと悪いところが出ているよ。

●主人公たち+診療所組

探偵ルートの終わり方はバディものとして良かった。殺人鬼ルートはなんというか、自暴自棄感が凄くて……先に見れば印象変わったかもしれない。(探偵→殺人鬼→いろいろ回収、の順番でプレイしました)

元ネタの方のジャックザリッパーの正体説の1つにウォルター・シッカートがいるので、ウォルターの元ネタはそれかな。元々黒幕の予定だったようだし。
ソフィーの初恋がアーサーなんじゃないかなって思いながら見ていました。毎日「今日はアーサー来る日だったっけ、どうだっけ。予約していない日でも会いに来てくれるかな」みたいに思っていたのかなと想像して、サブストーリーの彼女に想いを馳せて、勝手に苦しくなってた……

●マフィア組

ヒロインレースはどうしても、ゲーム開始時の前提や秘密共有しているためにローリィの方が強い印象。自分もローリィの方が好きでしたが、シャーロットが割食っちゃうなあという感じでした。シャーロットは結婚EDでも秘密を明かすことはないので……あと見せ場がね、どうしてもこっちの方がかっこよくなる印象がありましたね。

Extraでのゴンザレスとミシェル先生の組み合わせが個人的に良かった。割と尻に敷いてそう。

●警察組

ハリーが好きでした。腕がどうのこうのでばれている気がする。ハリーが過去に救えなくてずっと未練と化している死んだ恋人とかになりてぇよ俺。

殺人鬼ルートでどうしてもさ~、直接的にではないにしろシャーロットが原因でローリィが死んじゃうのがさ~…………ヘイト管理として難しいところだな、なんて思いました。
殺人鬼ルートでも「人を疑うことも時には大事だよ」「それでも私は、これこれこういう理由で疑いたくない」みたいなやりとりをがっつりする章がその前にあればよかったかもですね。シャーロット自身もこれで良いのかな……みたいな感じになって、その後最悪な形でその予感が当たってしまい「ちが……私こんなつもりじゃ……」になってたので。

夜、灯す 感想

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かつてお嬢様学校と呼ばれていた歴史ある学校、神楽原女学園
その昔、お互いの一番大事なものを交換して、卒業まで姉妹の契約をする「疑似姉妹」制度がありました。
卒業までのその特別な関係を、永遠のものにしたかったとある疑似姉妹が心中を図ったことにより、学校側から禁止されることに。彼女たちの心中はただの事故死と処理され、離れ離れ。
月日は流れ、ゲームの舞台である現代では疑似姉妹制度は残っていません。

さて、現代の神楽原女学園で筝曲部に通う「十六夜鈴」は、とある日から「お姉さま」が出てくる不思議な夢を見るようになります。
夏休みに入って間もないころ、休み明けのコンクールに向けて特訓する筝曲部のもとに、転校生「皇有華」が入部することになりました。彼女は筝曲界トップの弟子数を誇る流派の娘である皇流の家元の娘。
しかし、「楽しく」をモットーにしている筝曲部の演奏は、彼女にとって音楽への侮辱に聞こえました。
孤立する有華をなんとかしたいと頭を悩ます部長と鈴。そんななか、有華から呼び出された部長が、旧校舎の2階から転落して血まみれで見つかります。しかし有華は呼び出していないとのこと。

部長に危害を加えたのは誰なのか。筝曲部に何が起こっているのか。鈴が見ている夢はいったい何なのか。
休み明けのコンクールはどうなるのか。孤立する有華はどうなるのか。

そんな感じの作品です。が!
中身は百合ホラーというよりも、スポ根ものです。百合ホラーは序盤で終わりますので、パケ買いした人とかは「お、思ってたんとちゃう……!」ってなると思います。ただ、スポ根ものとしては良作なので、どういうジャンルのゲームなのかわかった上で遊ぶのが良いと思います。

●十六夜 鈴

スポ根ものになる要因の6-7割くらいこの子。くっそ前向き。なかなか耽美という言葉を置いてきた感じのパワフルガール、良いと思う。鈴ちゃんがいないと筝曲部すぐに瓦解してそう(小声)

●皇 有華

有華ちゃんの最初の孤立、ソリストとオーケストラの違いのようなものなので、仕方なくない!?!? ってなっていました。自分はどちらもやったことあるのですが、向き不向き・才能みたいなものなので仕方ないよ……言い方が悪いのはまああるのですが。
でも有華ちゃん自身が一緒に弾いて楽しいってなるなら、まあ俺が口を挟むことではない……。この部分がどうにも引っかかってずっともやってました。

●青柳 真弥

真弥ちゃんだけ音量が小さいんだよな~! いろんな方が言及していますがちょっと気になる。

ちょっと記号的に使われているキャラ+見せ場が終わったらギャグ要員にされたたように感じてもやもや。有華ちゃんに本音でぶつかっていくところが好きでした。大好きな子の一番が取られちゃうって気持ち凄いわかる~……田舎だと余計に閉鎖空間だしな~……そこから百合好きになるとは思っていませんでしたね

●舞原 累

有華ちゃんに秒で感情移入していたので「こ、こいつ……!」となっていました。才能あった陸上を取り上げられたところに手を差し伸べてくれた人に危害を加えていたかもしれないって思えばそりゃまあねって感じなのですが。

●田鎖 麗子

何の楽器が一番好きなんだろう、やっぱり今はお琴なんですかね
お姉さまのことがあったなら有華ちゃんと初対面の時にもう少し反応しても良いような……なんて思ったり。累との百合を押し出したいだろうから、そういう意味でも削ったんじゃないかな~と邪推。キャラ自体は割と好き……というか、もしかして俺が長髪好きなだけ……!?

●お姉さまとおばあちゃん

どのEDでも割と好きでした。

まとめるとどうしても「ジャンル注意だぜ!!」になる作品ですね

嘘つき姫と盲目王子 感想

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本当のわたしではあなたに触れられない

王子さまは、夜な夜な森から聞こえてくる美しい歌声に聞き惚れており、その声の主に会いたいと考えるようになっていました。
しかしその美しい歌声の主というのは、人を食べる恐ろしい狼だったのです! ただ、その狼は王子に恋をしており、自らの姿を見られて嫌われてしまうことが恐ろしくてたまりません。自らの姿を見ようとやってきた王子に向かって、つい、手が出てしまいます。自らの手に鋭い爪があることを忘れて。狼の爪により、王子は眼に怪我を負ってしまいました。
目が見えなくなってしまった役立たずの王子はお城に幽閉されてしまいます。そのことを知った狼は、森に住む魔女に王子の眼を治してもらおうと思いつき、王子のもとへと向かうのでした。

……といった感じの導入!
日本一の幼女に厳しいシリーズかと思いきや、絵本シリーズとでもいえるようなやさしい新シリーズです。やさしいよ、本当だよ。発売前に「ほらきた姫とめくら王子」って言われていたのほんま笑う。

基本はステージクリア型の2Dアクションゲームです。姫(の姿をした狼)を操作し、目の見えない王子の手を引きながらステージをクリアしていきます。手を繋いだ時に姫と王子が笑顔になるのがかわいい。
操作性は~……あまり良くないかな……割ともどかしい感じの想いをする箇所が多めです。スペランカーかな。

で、肝心の物語の方はというと王道話です。絵本のような世界観で語られる切ない物語。
俺は汚い大人になってしまったので、終盤の狼と王子に多少苛ついてしまいました……全て魔女のおかげなので……しかし、導入で視力を奪わねば全て王子が解決するんじゃないかなと思わせるようなタフさはなかなか好感が持てます。いやまじでED後の王子、すごくない?? タフって言葉は王子のためにある。

ゲームというより絵本だな! 遊べる動く絵本。朗読の声優さんが雰囲気にマッチしていて、また声も聴いていて安心する。志方あきこさんの音楽やBGMも素晴らしい。世界観も大好物。あれだ、「あらしのよるに」とか好きな方に抜群に刺さりそう。
お値段とボリュームを考えると割高感は否めないので、セール期間などに購入するのをおすすめします。

休日や、なかなか寝付けない夜に、そっとプレイしてほしい。そんな作品でした。ぜひ、ご自身の手でね。

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嘘つき姫と盲目王子 感想

MAD RAT DEAD 感想

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狂ったネズミの耳鳴りを聞いてくれ!

主人公はとある実験用ラット。ゲーム冒頭からご挨拶よろしくなかなかショッキングなラットの実験シーンが始まりますが、どうやらその実験も相まって寿命で死んでしまった模様。
あの世にてネズミの神さまを自称する人物……人? ネズミ……? 神……? 存在に出会い、神様からラットに秘められた能力――時間を巻き戻す能力を教えられます。
寿命は変えられないので今夜死ぬ運命は変えられませんが、ラットのこの「最後の一日」を悔いのない一日にできるようにやり直せるとのこと。ラットは自分をケージに閉じ込めて実験台として一生を過ごさせた、憎い人間(研究者)を殺して復讐をする、という夢を叶えるため、最後の一日を巻き戻しました。
ラットの心臓の人格だという「ハート」、ハートがイカれていると称してから自称するようになった主人公「マッドラット」、そして時として「ネズミの神さま」も交えて、その短いようで長い一日は始まったのです。

ゲームシステムはリズムゲームと横スクロールアクションが融合しています。ステージ下部に流れるノーツを右手でタイミングよく押しながら、左手でマッドラットを進行方向に向けて移動させます。これがまた難しいのですが、今までにないゲーム体験ができます!
マリオのようにステージに制限時間もありますが、初心者向けに制限時間をオフにすることもできるのでご安心ください。私は言わずもがなオフでプレイしました。無料アップデートのイージーモードで、2021年に実装されたようです。イージーモードでもクリアしたら俺の勝ち。
日本一のゲームにプリニー主体のアクションゲーム(プリニー 〜オレが主人公でイイんスか?〜)があります。本作はそれを残機制度なしにして、制限時間を付けて(場合によってはつけないで)、リトライを容易にした、って感じのゲームです。
そう、本作は何といってもリトライが用意なのです! 死んだその場からくるくるっと時を戻して直近からの再チャレンジが可能(制限時間を消費する模様)。巻き戻せる時間は限りがありますが、身も蓋もない言い方をすればめっちゃ戻した後にすぐ死ねばより巻き戻せます。

難易度は高い(特に終盤)作品ではあるのですが、理不尽な難易度ではなくて、全体的に「さっきはだめだったけど、アレをこうすればイケるはず!」とすぐにわかる感じの設計。
ゲームには適度なストレスを与えるのが良い、みたいなことをスマブラでおなじみの桜井さんが仰っていた記事を見たことがありますが、本作は正にそれです。操作性とかではなくゲーム作品内での健全で適度なストレスがクリアまでにあり、そしてステージをクリアした瞬間にそれが解放される。アドレナリンが脳内に溢れかえるほどに気持ちええんじゃ~!

それからなんといっても音楽が良い。サントラがめちゃくちゃ売れて、良く公式サイトTwitterでも入荷/売り切れのお知らせがありますが、聞けば「そらそうじゃ」と納得する名曲揃い。私は終盤の「Mimolette」がとても大好きでございます。どんな曲なのかは、是非、君の眼で(耳で?)確かみてみろ!

以下、ネタバレ有り感想。

誰も悪人じゃない、というのがまた良かったです。全員が全員、譲れぬ理由があって自分たちの願いを押し通そうとする。誰が正義とか誰が悪とかそういうのはなくて、生きる本能だとか自分の信念だとかで語っている。
神さま(パラサイト)の言い分ももっともだし、マッドラットの感情論も道理だし、ハートの最後のわがままも何より素敵なわがままです。

「君が死ぬところなんて見慣れているよ!」って、このゲームにおいて最高の愛の言葉だと思う。一生一緒にいてくれやじゃん……、一生一緒にいてやる宣言じゃん……。
マッドラットからハートにハグするところも良かった……ハートにとって安心できるとわかっている行為を、道中ではずっと拒否していたマッドラット側から最後にするってさ、やっぱりさ、王道だけどさ、良いよね……。

いやまじでキャラデザ神~! 音楽も神~! でもかめりあ先生はもう少し手加減してください。
続編を望むのは野暮というもの、といった感じの作品ですが、システムを引き継いだ作品はいつか出てほしいなあと思う次第であります!

日本一は当たり外れが本当にすごい会社ですが、今作はなかなかのあたり作品だったのではないでしょうか。いや本当、イージーモードではあったけれど、ラスボス自力で倒せて良かった~! いい加減ホタルノニッキをクリアしたいです(涙目)。あと無印以降やっていないディスガイアもいい加減やるね♡

ところで日本一といえばウィッチテイルが好きなのですが、なんか動きないかな~。開発違うとはいえ会社HPにキャラとしているので、会社としてもお気に入りキャラなのではないかと私はにらんでいます。

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