Limbus Company 1章「属せない」 感想

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幸運を祈ります、管理人様。

FACE THE SIN, SAVE THE E.G.O

韓国のインディーゲームスタジオ「Project Moon」が贈る初のソシャゲ、「Lobotomy Corporation」「Library Of Ruina」に連なるシリーズ3作目です。全部Lから始まっていることに今気がついた。
巨大なディストピア都市を背景に、プレイヤーは管理人兼囚人の「ダンテ」として、自分含め13名の囚人たちと共に黄金の枝を探す旅へ出ます。
前2つは積んでいる状態。本作プレイ中にいい加減やるか……となり、「Lobotomy Corporation」を始めましたが、3日目で死にまくってうぇっへっへwwってなってます。俺、これ、クリアできるんか……?

なんで本作から始めたかというと、前々から気になっていたゲームシリーズのソシャゲ(始めるのが早ければ早いほどいい)だってことと、TGS 2022で先行プレイしておもしれ~ってなったからです。
一応初日勢ですが、なんたって古いPCのSteamでやっているもんだから、全然進まない!
加えてこの手のゲームは、個人的に、元ネタをできれば履修した状態でプレイしたいとは思いつつも、あまりの量に加えて現時点では未履修の作品が多く……(感想のところで、現時点で何を履修しているか否か、残しときます。多分進んでいくうちに履修済みが増える、増やしたいね)

面倒くさい自分と折り合い付けつつ、なんとかかんとか1章クリアまで行きました。期間限定イベントあった事実に泣いたし、1章の人の心のなさにも泣いた。プロムンの洗礼を受けたわね……

以下、ネタバレあり感想。

●ダンテ / ヴェルギリアス / カロン

元ネタは履修中。
元々「うみねこのなく頃に」が好きで(こちらも履修が中途半端ですが……)、理解を深めるために『神曲』を購入して積んでいました。プレイしながらロード時間に読んでいます。
どうでもいいのですが、実際のベアトリーチェはダンテを嫌悪していた節すらあるのに慈しむ恋人のように描かれ、憧れのヴェルギリアスはダンテに甘い師匠として描かれ。「知識と教養はある童貞が書いた夢小説みたいだな……」って印象を今のところ受けています。すまん……

ダンテの感覚自体はプレイヤーに近しいものだと思うのですが、彼の記憶が失われているというのが今のところの不安。ダンテと囚人たちが凄い打ち解けた後に、実はすっごい冷酷な性格だった以前のダンテが出てきたら泣いちゃう。あの場面でグレゴールに発破かけれたあたり、その素質はあるんじゃないかなと思ったり。序章では最初ソロだったし……

反面、ヴェルギリアスは、思っていたよりも話が通じる感じでした。最後の遺品のところとか。
遺品のくだり、ヴェルギリアスも、カロンに邪魔ではないか聞いてはいるものの、無駄な行動だと言ったりか笑ったりとかはしていないんですよね。それをする価値すらなかっただけかもしれないけれど。でもユーリがカロンに地図を教えていた時間が無駄ではなかったと思っていて欲しいな……

カロンはひたすらにかわいい、ぶるんぶるん。

●イサン

元ネタは未履修、1作もです。

今のところ口数少ないので判断材料も少ないのですが、道中でのユーリへのフォローなど、気遣いができて、マイペースで、割と陽キャな印象、陽キャだったという印象。決別したっぽい知り合いも出てきたし、まあなんかあったんやろな……
ユーリをフォローしたのが、イサン/ファウストという、頭良い組だったのが意外でした。ファウストは理詰めの割合が多いフォローな印象だったんですけれど、イサンは理詰めとフォローが半々な印象を受けたので余計に。そういうことされると軽率に好きになっちゃうからやめてほしいね。

因みに、現在進行形で、イサンのガチャで爆死してます。あなや~~~! いやだって、顔も性能も良いし、私が梅大好きだから……つい……

●ファウスト

元ネタは未履修。

一人称ファウストなので、ファウストの台詞で「ファウスト」だけは毎回聞き取れるので、何か嬉しくなる。

「そして、人間が何かを悟るために熱心に悩むのは最も楽しいことなのです。ファウストは台無しにしたくないですね。」
↑これ、かなり好き台詞でした。知識を得ることが本当に好きなんだと思う。そんな姿勢の彼女が良いなってなったのと、前述の名前のことがあわさり、好き……って噛みしめる感じの好きになっています。でもポジションがポジションだから、なんかでっかい爆弾持ってそうで怖いね! このゲーム、そんなんばっかだね!

●ドンキホーテ

元ネタは未履修。

かわいい~♡ とか思っていたら、良秀殺すことに何のためらいもなくてひょえってなりました。結構狂人度が上の方。
良秀殺したドンキホーテと殺していないドンキホーテの、そのあたりの切り替えが彼女の中にはなくて、全部「ドンキホーテという自分」という地続きで見ていそう。
「どちらも同じ私ですのに、なぜ区別するのですか!?」みたいな

●良秀

元ネタは履修済み、芥川が好きなので。全作品は読めとらんが……今のところ『河童』が1番好きです。

煙草のくだり、めっちゃ良かった~~~! 良い女だ、好きだ……「死人に縋るのは意味ないけど、死人を想うのは意味あるだろ」みたいな考えをしていそう。

あと、初期人格のホームボイスとか元ネタとか考えると、地獄絵図に対して何かしらありそう。
案外、地獄を中から見た娘の方がベースなのかな。元ネタが好きだと「どういう感じで展開するのかな!?」って楽しみがあります。

●ムルソー

元ネタは未履修。

生真面目な仕事人の印象。ここだけ切り取るとイシュメールもなんですけれど、ムルソーとイシュメールの違いは口数が多いかどうかかなあ。あとムルソーの方が天然っぽいかなってイメージ。

●ホンル

元ネタは未履修。

ほわほわしていて可愛い。悪意自体は認識できていて、悪意が持ち続けると疲れちゃうものだからいらなくない? みたいな思考回路をしていそう、って今のところ思っています。
確執ありそうな兄貴出てきたな……ホンルのほうが優秀で劣等感拗らせているか、兄貴の方が優秀なのに周りから愛されているホンルに対して憎しみを抱いているかのどっちかにカシオミニをかけます。

●ヒースクリフ

元ネタは未履修。

頭に血が上らなければ割と冷静に物事を見れる人という印象です。まあその、頭に血が上ることのトリガーが簡単に引かれるタイプなのですが……
囚人の中だと、今のところ誰と仲が良いんだろう。あまりイメージがわかない。ドンキホーテとかシンクレアとかに、何故か懐かれていそうなイメージはある。
ただ、煙草はあまり吸っていなさそうってイメージです。なんとなく。

めちゃくちゃ余談なのですが、「『嵐が丘』って何文庫で出ているんだろう」と思って調べたら、結婚する前の堀北真希と山本耕史でやっている映画? 舞台? がありました。つまり原作のヒースクリフって……そういう男だってコト!?(風評被害)

●イシュメール

元ネタは未履修。

紐の結び方らへんからが本当切なかった。ユーリに対して、未来を提示したのがイシュメールなんですよ。で、そこからユーリがグレゴールに対して甘えるように未来を伺って、グレゴールが本当にうれしそうにそれを肯定する。
イシュメールにとっては何ともなかったかもしれないけれれど、「どう生きればよかったのか」と悩む彼女に対する灯りだったんじゃないかなって思いました。生真面目なイシュメールは生き方に悩むユーリと相性良かったのかもね。
あと髪色可愛い。

●ロージャ

元ネタは未履修。

すっげ~良い女、好みかもしれん……カマキリみたいに俺を食べて欲しい(?)

湿っぽいことが大嫌いって感じのムードメーカー。ユーリに対して、マスコットなんてどう? って一見突拍子もないことを言いつつも、囚人は難しいけど聞くだけ聞くことはできる、といった考えに基づいている。CoCでいうと、低EDU高INTタイプだと思います。
一度懐に入れると愛着湧いちゃう面倒見が良いタイプなんじゃないかな……かわいい……

雑談で地雷踏みかけることもあるけれど、踏まずにとりなせるタイプ。んで周りの地雷除去もたいていできる、って印象でした。

●シンクレア

元ネタは未履修。

「かわいそうはかわいい」といった嗜好の方たちに好かれそうなキャラ。いうてある時ぷっつんして俺を殺してきそうな雰囲気もしないでもない……あと二重人格っぽい雰囲気、文アルの中島敦みたいな。

カロンに丁寧にユーリのフォローしつつ地図を教えて、ユーリの死を悲しんで。そんな彼が志願するってのは、何かしらの力を得たかったとか、やらねばならないような復讐に近い動機があるとか、そんな感じかなと思っています。曇らせ展開あっても(まああるだろうが……)、その優しさを捨てないでいて欲しい……

●ウーティス

元ネタは未履修……だと思うんですけれど、『オデュッセイア』は大学の講義のどっかで扱った気がしないでもない。わからん。わからんので未履修判定で。

ダンテに対して丁寧に接しているように見えて、生き返りがなければ殺してやるぞと言わんばかりの態度。わっはっは、愉快なり。ダンテには目がないのでのくだり、まじで笑った。落語か?

過去に軍の上の方の階級に所属していたのかな。「任務以外のことを考えさせるな」と言われているということは過去を考える暇を与えるなということなので、過去封印系の記憶操作されているのかなという気もします。言動は染みついているというか。
ダンテへの対応がどこまで彼女の意志で、どこまで彼女の本心か気になるところです。主人公になる章でわかるかな。

●グレゴール

元ネタは履修済み。
というかよりによって1章主人公だったので、話読んでいる途中で元ネタに気が付いて、妹いたんだろうなってことがわかって(背景的にもう死んでいそう)、そこに絡みのある1章ゲストっぽい女の子がおるなってなって、アッ……って……なってぇ…………

ちなみに、なぜか『変身』のグレゴールは、蜘蛛や芋虫のイメージがあったんですけれど、読み返したら「甲殻のように固い背中」「何本もの弓形のすじにわかれてこんもりと盛り上がっている自分の茶色の腹」ってあって「お、俺の記憶はいったい……!?」ってなりました。「あさりちゃん」で『変身』を扱う回があってそれで『変身』自体を知った記憶もあるので、そっち釣られた記憶だったのかも?

「グレゴールがユーリについて行きたそうにしている」みたいな表記が出た時に「あっ! ここの戦闘でグレゴールを入れていないとグレゴール選べなくてユーリ死んじゃうのか! 分岐するのか~! 戦闘メンバーに入れてて良かった~」って思いながらグレゴールを選んだん……です、けれど……;;
まじで、目の前で死んだユーリに、まだ助かると言わんばかりに行動したのが辛かった。実の妹の方も、目の前で死んだのではなかろうか。本当は助からないことわかっているのだろうけれど、脳が理解を拒否して、直後にあれだよ!!
すごい捻くれた見方をすると、実験中の林檎が人間の比喩で、その中に実の妹ちゃんいたり……して……自分で言っていてやだなってなったのでこの話終わり!!

彼の戦場は終わっていないんだろうな。でもここはもう戦場ではなくて、新しい地獄で。それを自覚した1章だったのではないかな、なんて思いました。上司(ヘルマンじゃない方)とのやり取りとかランボーみたい、ポプテピでしか履修していないが。
勝手に息子呼ばわりされてプロパガンダ広告塔にされて、PTSDにならないわけがない。そのPTSDも1章のなかでやわらいでいるわけではなくて、せいぜい「過去と向き合い始めた」といったレベル。
ただ、その向き合うことは1人ではできなかったと思います。囚人たちも、ドンキホーテが妹と年齢近そうだけれど、ユーリとタイプが全く違うからな……
過去と向き合うきっかけをくれたユーリは、グレゴールにとって、一生大切な女の子であり続けると思います。遺品大切にしろよ。

ただ、多分なのですが、ユーリが死ぬまでグレゴールは妹と重ねている割合の方が大きかったと思います。「ユーリ」自身を見ていたのはイシュメールとかの方が見てたと思う。ユーリが死んでから、グレゴールは初めて、「ユーリ」自身を見たのではないかなと。
ある意味グレゴールへの罰だったのかなという気持ちと、この代償の大きさが許されてたまるかという気持ちと、愛しさと切なさと心細さ……

あと余談ですが、「cv三木眞一郎のキャラが好きな知り合いが好きそう」と思って聞いてみたら好きだったし、声優さんは韓国でcv三木眞一郎の吹き替えを担当している声優さんという情報を得ました。狙い撃ちじゃん。

●ユーリ

死亡描写があっさりしすぎていて「わ、わかってはいたけれど……! もっと丁寧に……!」って思っていたら、死体蹴りがあまりにも丁寧すぎて美しいほどで泣いてしまった。これがプロムンのやり方ですか(そうだよ)。

「じゃあ私はどうしろっていうんですか? 生き残るのが罪だっていうんですか?」
この問いが、1回目と2回目で、全然声色が違うこと、受ける印象が全然違うこと、周りの反応が全然違うこと。そしてどちらも辛く苦しく、切実なこと。本当にこのあたり辛かった……

アヤも、ユーリを可愛がってはいたけれど、ガスマスクのことを知らせなくてアヤ自身の分は確保していたあたり、なんかペット、というか実験動物や家畜に気まぐれで抱く愛情に近かった気もします。でもベルト交換しているんだよな……いやベルトは生死には関わらないか……
もしそういう可愛がり方であったのなら、ユーリは一生知らなくて良いです。もう知ることも出来ねえ……(自分で書いておいて、自分でダメージを受けた)

ホプキンス、殴りて~~~~! って気持ちしかないです。殴りて~~~~~~~~! ヴェルギリアスが嫌いそうなタイプだってことが救いです、私の中の。生死わからんけれども、実際にあのままヴェルギリアスに報告していたとしたら死んでいるだろうと思う。報告すらも方便で逃げ出して生きていたら、憧れもその程度だったんだと思う。
ホプキンスに辛辣だな、俺な……

やっぱ、1章のメインだったから、グレゴールとユーリに対しての文量が多いですね。1章からこんな展開持ってこられて、物語全体が終わる頃にはどうなっているんでしょうね……

名前部分の色はまた変えるかも。どうすれば見やすいかなあ。

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Limbus Company 1章 感想

バイナリシンドローム TGS特別試遊版 感想

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TGS向けに公開されていた体験版(TGS特別試遊版)を、TGS終了後期間限定でboothに公開されていたものをプレイしました。通常公開verはプレイしていません。普段体験版はプレイしないスタイルなのですが(一目惚れした作品は製品版でやればいいと思っているので)、TGS限定版ということでDLプレイ。
同作者さんの過去作品は、2つともプレイ済み(感想書き中)です。体験版やるの久々だし、どうせなら発売前に書いた方が貢献できるかなってこっち先に書いちゃった♪

PC-98リスペクトのコマンドクリック型アドベンチャーゲームです。自分はこの時代のおたくではありませんが憧れがあり(作者さんも同様とのことでした)、プレイ中「ええわ~」とずっと噛みしめていました。ええわ〜。ここ数年、その時代の積みゲーめっちゃ増やしている。

舞台は西暦2101年。人工島の実験都市「ゼルノア島」の研究所で、主人公はアンドロイドのカウンセラーとして働いています。
TGS体験版では3人のアンドロイドのカウンセリングをすることができ、みんなとてもいい子でcute。各5分ほどで終わります。
カウンセリングが進むとカルテにも症状が書き込まれていく、TGS体験版ではとりあえず悩みを聞いたあたりで終了です。

マウス操作が推奨されているのですが、そのマウス操作が本当にプレイしやすい。システムも真似ているとしたら、PC98時代にADVが盛んだったのも納得。可愛いドット絵に拘られているシステム、製品版が楽しみです。

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バイナリシンドローム TGS版体験版 感想

グノーシア 感想

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PSvitaで出ている時に知ってはいたのですが、買うタイミングを逃していたらSwitch移植されて、Steam移植されて。
vitaに対してクソデカ感情を抱いているので、移植された時はしばらく複雑な思いを抱いていました。グノーシアは悪くない、vitaも悪くない、俺が悪いんだ……。
それはそれとして名作だとは聞いていたので、いい加減面倒くさいオタクくんな自分とも区切りをつけ、プレイするに至った次第であります。

グノーシアは嘘をつく。
人間のふりをして近づき、だまし、人間達を消し去っていく――

一人用の人狼ADVです。チュートリアルが非常に丁寧で、人狼をプレイしたことのない人でも安心。また、特殊役職は少しずつ増えていくことや、複雑すぎる役職は出てこないという点からも、人狼ゲームとして見ると初心者向きでプレイしやすいです。

医療用ポッドから目覚めた主人公は、セツと名乗る軍人さんから、宇宙船にいること、また船に「グノーシア」という、人に擬態して、人をだまして、そして人を「消し去って」しまう存在が、宇宙船の中に紛れ込んでしまっている、という状況であることを説明されます。

だから議論してグノーシアと思わしき人物をコールドスリープ(人狼で言うところの処刑)し、平穏を掴みとる必要があるのですが、物語はそれだけではなく、どうやら主人公とセツの2人は、ループの中にいるとのこと。議論に決着がついても議論開始前に巻き戻り、グノーシア騒動は終わることが終わることがありません。加えて2人は同じループの中にはいないため、時として互いがグノーシアになり、敵対関係になったりします。

どうして2人はループの中にいるのか。グノーシア騒動はなぜ起きたのか、そもそもグノーシアとは一体なんなのか。

主人公はセツと共に、宇宙の孤独な旅路へそれぞれ旅立つのでした。

ところでこのグノーシアにはという、後天的手術で性別を無くした性別が出てきて、このセツさんも性別が汎だったりします。おそらく生まれ的には女性。他の性別:汎である登場キャラクターは、男性でまだ手術はしていないけれど性別:汎、というキャラクターも出てきます。
はパンセクシャル / バイセクシャルではなく、Xジェンダー、あるいはアセクシャルやノンセクシャルあたりで考えるのが良いと思います。開幕思うよりも万能な概念ではありません。
ただ、私はセックスとジェンダーをいっしょくたにされるのがま~~~じで嫌羊なので、そこはちゃんと別ですよ、って言ってもらえて本当良かったです。

以下、ネタバレあり感想や考察。

●グノーシア(グノース)についての考察

「グノース」はまあ、グノーシス主義が元ネタだと思います。マークからしても。グノーシス主義とは、悪しき神がつくりだしたこの世界から逃れるために、自己の本質と真の神についての認識に到達することを求める思想です。
グノースの本質を「認識」したり、「知識」を得た人が、グノーシアにあたるのではないでしょうか。グノーシアになった人は、抑圧されていた自分を開放したり、動物的本能を満たすことがあると本編でも言われています。

わかりやすい例がレムナンやラキオ、ステラだと思います。
レムナンは、抑圧されていた自己を出せるようになっている。レムナンは本質的には、攻撃的というか、執着的な性格をしています。グノーシアのレムナンは、それがより被害妄想というか、閉じた世界のまま発揮されている。
ラキオは「本当は生まれ故郷から逃げ出したかった」。めちゃくちゃ雑な言い方をすると、本音を言っています。
ステラは、理性で隠していた人間になりたい自分を、人間しか味わえない悦びを求めるという欲求を抑えなくなる。

で、逆にしげみちや沙明や夕里子などは、グノーシア時の変貌があまりないキャラクターです。普段からあまりそういった抑圧はしていないから、解放するも何もないから変わりようがない。グノースの徒になったよ~くらいの変化。

特殊な例としてSQちゃん。ある意味での二重人格をああいう形で再現したのは思わず舌を巻きました。あれは見事。パケ絵に使われているのは、SQとマナンという意味なのでしょうね。物語の元凶。
もしかしたら電脳化技術を確立させたのがマナンなのかもしれないな。SQの言葉チョイスを考えると、マナンは軍事関係者だった過去もありそうだと思うんですよね、軍事研究者あたりの。生まれて間もないSQと、長年生きた(生きている)老獪なマナン。そりゃ、動物的本能(=グノーシア化)で考えたら、マナンになるよなあって。

電脳化された人間がグノースであることは作中で、巫女であった夕里子によって断言されています。
グノース単体では更なる知識が得られないのでグノーシアを生産。電脳化自体は一般的なことであることがわかりますが、その結果がグノーシアになることである、というのは一般的ではなさそう。(あと金額も)
対して、銀の鍵も知識を得たい存在で、かつこちらも単体では知識の習得が無理なので持ち主に寄生する。ニアリーイコール的存在。グノースと銀の鍵が敵対していたら面白いなあと、何か書いていて思いました。

作中で電脳化が判明しているジナ母ですが、ジナの発言や態度を見るに、生前とは多少異なっている……というか、映画上映のように、「電脳化する前の、その人」をトレースし続けることしかできないようです。
電脳化を行うには教会が必要。星の家の人たちは受付で、星船の巫女が実際にグノーシア化させる担当者。ラキオの出身国を考えるとある程度国家(というか宇宙連合)が絡んでいるだろうし、電脳化に伴う金銭的利益が、そういった国や組織の主な収入源になっていると思います。グノーシアになった人間はグノースにはなれないのでは!? 今気がついた。殉教者とは作中でも言われているけれど、グノースから見ても手駒前提なんだな。

国家や連合の大人の事情や金銭的問題に加えて、「それでも生物(人間以外もいるので、あえてこの言い方をします)には、心のよりどころが必要」ということもあると思います。終末思想、終末思想に伴う宗教の繁栄。

●セツ

物語のキャラクター役割としての、俺らのヒロイン。バディともいうべきか。
どんな性別であれどんなプレイスタイルであれ誰が推しキャラであれ、全プレイヤーに、セツと敵対すると「ちょっとこの周、辛いなあ」と思わせるような絶妙なキャラなんですよね。医務室の出現率が高いのは、「俺」がそこにいるからなんだろうな…………最初に出会ったセツが、最後のセツになるって良いよね、イイ……

最近知ったのですが、グノーシス主義にはセツ派というものがあるらしいですね。グノーシス主義の主流の地位を確立した宗派の一つらしいです。名前からして物語の核なんだな……

通常EDを迎えてから真EDまでの「セツに会いたいなあ」と、深夜2時に思わず漏らしてしまうような、そんな過程が見事。愛しいね。一緒の世界線を生きていけはしないかもしれないけれど、文通とかしたい……
「私」の1ループ目の最初の説明、セツはどんな気持ちでしていたのだろう。「私のことを知らない貴方に会う」って、すっごく怖くないですか? あのループは心細かった、私はラキオがいてくれたけど。ラキオがいてくれたから乗り越えられた。そんなループを、お前は1人で乗り切った、あるいは乗り切るつもりでいた……セツ…………好きだ……

ところで、セツが沙明を“やってしまった”周が、特記事項を埋めた周回以外にありませんでした。という話をグノーシアをプレイした友人に話したら驚かれました。珍しかったのかな。
Steam版も買ってやろうかな、と考えているので(実績解禁したいなあ、なんて思いまして)、その時はどうなるかな。

●ジナ

シナリオライターさんのヒロイン。
食いしん坊キャラなのがかわいい。母親のこともあり、どことなく「ここにいない、何処かの誰かを追っている」という、目を離したら消えてしまいそうなジナは、実際に外壁イベントがそんな感じなのですが、食べ物関係の時は「あ、そこにジナいるな」って思えて安心します。いやまじで沢山食べてくれ、食べ放題行こう。〆にラーメン行こう。
ED後でSQと一緒に暮らしているのも安心しました。SQちゃんだったら絶対、ジナをどこかへやったりとかしなさそうじゃん。

太らせるのが好きなのも、食いしん坊な彼女に合っていてかわいい。もしかしたら母親共々よく食べる家系なのかもしれないですね。食が彼女にとって、家族を繋ぐもので、あたたかい想い出に溢れているのかも。

●SQ

少し芝居がかった口調をするのは、マナンの模倣をして、マナンではないSQという、「自分」というのが何者なのかを探しているのでしょうね。探偵になったのも「人間模様が良く知れる職業だから」というのがあるかも。
SQは、眠っている方のククルシカに何となく直観づいて地下に行かないんだろうな。レムナンとはまあ……互いに関わらない方が良い、SQもマナンが怖いので。

作中でのSQにとって、生まれた時に一人ぼっちだったことは、結構大きなトラウマだと思うんですよね。真EDでは少なくともジナ、それからもしかしたらラキオ/ステラに見守られて生まれてきているので、あの世界線のSQは何も憂うことなく生きていけるのではないかな。

●ステラ

好きな色を緑にしていたためでしょうが、めちゃくちゃ協力を持ち掛けて来てくれました。俺のこと好き?
あとチュートリアル後の初敗北グノ顔を見たのがステラでした。ステラのグノ顔は非常にインパクトがあるのですが、それはそれとして、フフ……興奮……しちゃいましてね…………となりました。

人間に、人間がすなる恋というものに、憧れている機械娘。俺、こういう設定に弱いんだ……
グノーシアにならない時のステラが作中通して一番人間みの強いキャラクターまであるのが面白いです。ジョナス凍結イベントを見るに、LeVi本体も人間に憧れているところはあるのかな。お前の王子様になりてえ……

●コメット

コメットは割と、自分を含めて客観的に見ることができるキャラクターという印象を受けました。というか、ED後のシピとの関係や粘菌と共生関係である(あった)ことをみるに、人間の器に重要性が見いだせないんじゃないかな、と感じたり。

あとはやはり、粘菌イベントの印象が強いですね。沙明恋愛イベントとしての印象なのですが。粘菌自体は結構攻撃的な感じなのではないかと思います。
普段はあくまで宿主のコメットの意志を優先していて、グノーシアの時は粘菌としての本能を優先しているのかもしれない。粘菌がヴェールみたいにぶわ~~~ってなっているやつ、好きなんだ。綺麗だ……

粘菌で思い出したのですが、ED後に売っているじゃないですか。個人的にはコメットにとって「初めての友達」くらいに考えていたのですが、もっとドライで、クマノミとイソギンチャクみたいな共生関係くらいの仲なのかも。考えてみればその細菌のせいで実質的に生まれ故郷に閉じ込められているわけだし。
生まれ故郷に閉じ込める粘菌と、密航を手伝ってくれた猫。まあ後者を取るわな。全部売ったのかな

●ククルシカ

真EDを見ると、ククルシカが初対面の時に花冠くれた理由が「再会できたことへの喜び」だということが分かるのが良いよね。ループ構造だからこその演出。アーニャもククルシカだったんだろうな、と最初は思っていたのですが、最近になって銀河鉄道999みたいな感じで、若くして死んだアーニャの遺体をアレコレして、剥製みたいな感じで人形化したものがククルシカだったりしたら、より絶望的だなって思いました。

留守番時にレムナンをアレしてしまったり、銀の鍵のための情報収集のためにどこにでも現れたり、「憐れみ」や「軽蔑」という描写があったりと、「あーやっぱりマナンなんだな」と、道中での何気ない描写が、EDを見れば全部わかるのが、糸がするするする~とほどけていくようで気持ちが良い。

人狼ゲームという議論が必要なゲームが元になっているゲームで、発声できないのに強いキャラクターというのが面白かったです。敵対する時はたまったものではないのですが。
発生できないから鍵の起動はできないけれど、鍵の情報埋めているのを見るあたり、人形ではない永遠の美を諦めていないと思うんですよね。グノーシアの時はそれが強く出ているのかも。グノーシア時(あと特記事項の留守番時)以外は人格がごりごりに削れたり、長旅の中で少し丸くなったり、そんな感じかな。

●オトメ

ステラが人間でないと気が付いていたのとかククルシカと詳細な会話が出来ていたっぽいのは、エコーロケーションですかね。彼女のイベントは音に拘られているのが多くて、人間に憧れてはいるんだけれど、イルカである彼女自身や、人間とイルカを繋ぐ架け橋になるだとか。そういった、今の彼女自身を否定しない憧れの在り方が好きです。
オトメは何歳まで生きられるのだろう……母って言われるくらいだし、長生きできたかな。長生きできているよね!
実は釣りイベントを回収できていないこともあり(映画みた)、比較的印象薄目なキャラクターであったりもします。いややっぱりSteam版も買っちゃおうかなあ。

●夕里子

まじで諸刃の剣の擬人化のようなステをした女で、火力高くてヘイトも集めやすいキャラなので、強いけれど割と生存させるのが難しかったです。夕里子をセツと協力してコールドスリープさせるのは、セツと「頑張ろう」選び続けました、頑張るセツが可愛かったので……クリアしてから「頑張るな」の方が良いっていうやつを見ましたが、案外そこまででもない。頑張ろう連打でもなんとかなります。

グノース教団に対して思うところがありそうだし、彼女がグノーシアの周回は、少し皮肉というか、切ないというか、そんな心境になりました。
星船から逃げ出してきた夕里子はどこにも行けないだろうけれど、それはどこにでも行けることでもあるので、どこかのびのびと生きることが出来る場所を見つけて欲しいなあ、と思います。

でもそんな彼女が、最後「不明」だったの、正直めちゃくちゃ興奮しました。それでこそ夕里子だ……(?)
物語を俯瞰視点から見ていたんだけれど、みんなが好きで、少し頑張って物語の外から手を差し伸べて。そして物語の外へ帰って行った。そんな感じが好きなのかも。あくまでも気まぐれとかではなくて、多少なりともこの余興(物語)を気に入ってくれていたのではないかと思います。

●ラキオ

なんだかんだでわかりやすい。優しい子で、多分グリーゼの教育に疑問を持っていたのだけれども、でも自分自身は中級〜上流階級に所属しているから反乱を起こすのもおかしいし(周りに同志もいないだろうし)、と抑圧されていたのだろうな。グノーシア時にその不満を感じる。
汎なのも、グノースの教育で性別に対する疑問があったのではないかなあ、と。というより性差の方かな。なんとなく、セツは入隊に伴う強制汎化だと思うのですが、ラキオは間違いなく自由意志じゃないですか。私はパンなのですが、「どうしてジェンダーの方の性別に拘って性差を自ら作るんだろう」って思うことがあるんですね。そんな感じ。セックスの方の性差は必然のものだと思います。
ラキオもそんな感じに考えていて、汎で手術を受ける予定でもあるけれど、故郷では勉強でそんな余裕なかったから後回しにしている、みたいな印象。

ちょっとお口が悪かったり、釣られる時にめちゃくちゃ早口になるのは、口頭でのやり取りに慣れていないからでしょうね。レムナンも、もしかしたらマナンが同じパターンの時があって多少慣れていた可能性があるのかも。
ED後ではそういう抑圧部分をうまい具合に互いに補える相棒を見つけられたという印象。いいバディだと思う。ラキオはレムナンの過去を聞いて、鼻で笑いつつも気にかけてくれそうなので、過干渉すぎなくてレムナンにも丁度いいのではないかな。

●ジョナス

恐らく作中で唯一、初対面時からクリアまでに好感度が下がるキャラクターなのでは、と思いました。そこがジョナスの魅力ではあるのですが。なんというかな、嫌いというわけではないですし好きなのですが、こ、こいつぅ……! という感情が常にある。ボブネミミッミ1期10話?

このジョナス」という言い回しをしたり、自分が人間の敵だと(=人類の英雄ではなくなる)自分はなんなのだとなると呆然する描写があるし、自分の過去がないと廃人ではない状態を保てないんだろうな。なんだろう、統合失調症も少しあると思うんだよな。少なくとも半身麻痺しているし……
一緒に旅をしているのが、(非常に人間みが溢れるとはいえ)人形と機械なので、そういった意味でもノスタルジアなキャラですね。まあその機械に殺されることもあるんだが……ジョナス、多分機械音痴ですよね。LABにも現れないし。
ファム・ファタールに狂わされたノスタルジア……もう二度と会えない運命の女……ククルシカの項目で、亡くなったアーニャを使用してのではないかと言ったのもここら辺に理由します。再会した運命の女が中身が全くの別人で、だからこそ身体が本人だとは永遠に気がつけない……みたいなの、人の心がなくない!? ないと思う。ないと思うから、物語的にはありそうな気がする……(?)

あと、俺に比翼連理言ってくるの何???? 比翼連理とか忍たまの鉢屋三郎が不破雷蔵が言っているのくらいしか見たことなかった、公式です。

●しげみち

初手、悩んだらラキオかしげみちだよね。ごめんね……

やっぱり映画館のシーンで好きになりましたね。「2人をコールドスリープさせるのを本人たちに伝える」という辛い役割を引き受けるし(自分から言いだしていそう)、それなのに2人が映画を観終えるまで待ってくれるところが好き。そりゃ真エンドの入りで、主人公もあのエピソード出す。

しげみちは「人間の肉体を失った前向きな人間」なのですが(対抗がマナン)、そういった経緯もあって、正体に気が付いていないとはいえステラに惚れたりしたのかな。コメットと並んで、人間とか猫とかイルカとか機械とか、そういう種族を重要視していないキャラクターなのかもしれない。

●シピ

クロネコヤマトの宅急便やん!(やん!!)

PC/NPC問わず積極的に「協力しよう」を持ちかけていた思い出と、それはそれとして一線を引き、誰も信用していなさそうな印象を受けます。猫に関してどうのこうの言われた過去があるんじゃないかなあ。
そういう意味で、そもそも粘菌と共生関係にある(あった)コメットと旅に出るのは、納得でした。シピグノーシア時の特殊台詞は、一線を主人公が超えてきた、という感じなのかも。自分から一線を越えることはなさそう。

でもその一線も、結構内側ギリギリなのではないかと思います。割と、絆されれば溶けていきそうな一線のような気もする。AC主義者のチュートリアルで「グノーシアと話し合おう」と提案する彼ですが、コメットの密航を手伝ったりと、事なかれ主義ではありません。ただ優しいんだよな。D.Q.O.で沢山絆されてくれねえかなあ!?(!?)
寒いところに出没しなかったり、睡眠に関する台詞が多いのは猫だな~って思いました。

●レムナン

他人の加虐的嗜好を引き出す才能がある、かわいそう。なんたって、コメットの特記事項かつ沙明の恋愛イベントである粘菌イベントで、下半身が溶けた1枚絵が用意されているという徹底ぶりです。いやまじでかわいそう。

ただ、かわいそうなだけのキャラではなくて、作中の男性陣の中では寧ろトップレベルで攻撃的なキャラクターです。執着的ともいうべきか。彼の根本に根付いているのが怒りの感情で、それをラキオがうまいこと手綱握るから活きる狂犬ですわよ。大暴れしてくれ。
ラキオのやさしさがわかって沙明のやさしさがわからなかったのは、まあレムナンが男だったからというのが大きいと思います。

●沙明

土下座が似合う男に惚れるとは思わんかった。水質管理室に頻繁に脚を運ぶお前がすきだ……いや、生き延びるために土下座をする男が、恋愛イベントでコールドスリープから目覚めないことを選ぶの、ずるくない!? ずるい。

すごい寂しがり屋。でもボノボのこともあって、沙明も最後の一歩を踏み込むということができなさそう。シピと違うのは、シピは最後の一歩を踏み込む(踏み込ませる)気がある意味でなくて、沙明は一応あるということでしょうか。本命童貞感がするのはここらへんが理由だろうな。
セクハラはしますが沙明のそれって(というか作中登場人物全員を通して)、セツがイケるというものを除いて、ルッキズムに基づいたものではないんですよね。かつ、攻撃性がない、うざさはあるのですが。良い塩梅だったなあと。と同時に、特に性的なことが苦手そうなセツが沙明をやっちゃうのも納得。

●主人公

てっきりゲームシステムから排除していたかと思っていた初日犠牲者の概念を、こう持ってくるかー! となりました。やられた(?)

不思議なんですよね。多分卵が先か鶏が先かにはなるのですが、「私」は全員「私」で、「私」はセツを助けたかったからああいう行動を取ったのだし、セツも「私」を助けたかったからああいう行動を取ったんですよ。
でもそれはあのグノーシア騒動のループの中で培われた絆で、そしてそれぞれ別のループ(宇宙)に行ってて、それがたまたま螺旋状に重なる時があるだけだよ、って感じで、もう会えそうにはなくて……でもバディなんですよねえ……

真EDでセツに会うことができたのは、ゲームシステム的な問題省いて物語的な面で考えると、ラキオが手伝ってくれたのかなあ、なんて思っています。
物語を通して、PCとセツが交流しているのに、真EDの一連の流れはなんというか、PCじゃなくてPLがセツと交流している気分。だからノーマルEDも真EDも、それぞれの味がして、それぞれで好きです。
めちゃくちゃ余談ですが、グノーシア(ゲーム全体の方)が好きになった人は「All You Need Is Kill」を呼んで欲しいな……原作の小説と映画版で結構設定が異なるのですが、私はどちらも好きです……漫画もありますので是非……

良い作品だった……この作品全体を通してなのですが、井伏鱒二が訳した勧酒を思い出しました。この盃を受けてくれ、どうぞなみなみ注がしておくれ、花に嵐の例えもあるぞ、「さよなら」だけが人生だ。

それでは皆様、良い旅を!

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グノーシア 感想

コーヒートーク(COFFEE TALK) 感想

公式サイトはこちら

心と心をかよわせる、一杯のコーヒーからはじまるストーリー

深夜のみ営業する喫茶店「コーヒートーク」のマスター兼バリスタとして、お店を訪れる様々な来訪者に飲み物を提供し、時に雑談を、時に人生相談を受けながら、世界の片隅で生きていく。そんなゲームです。

制作中に「VA-11 Hall-A」のクリエイターからアドバイスを受けたこともあるそうで。「VA-11 Hall-A」フォロワーゲーム? ライクゲーム? というやつですね。「VA-11 Hall-A」の感想はこちら

しかし似ているようで、操作感も物語も世界観も割と違います。お酒か喫茶店かの違いに伴うように。
「VA-11 Hall-A」と違い最初からレシピはわからないので(一度作成/提供までしないとアンロックされない)、そこは少し難しいです。あと「VA-11 Hall-A」は材料が順不同だったのに対して、「Coffee Talk」では順番が大事になっており、同じ材料でも入れる順番によって違うドリンクが出来上がります。少し難しいところ。
また、レシピにそもそも存在しないドリンクも、客から求められるし、求められる以上は作ることができるので、そこも少し難しいかな。話の作り上2週した方が良いとは思うので、1週目は何も見ずに気ままに、2週目に何かしらを見ながらプレイしても良いのではないでしょうか。のんびりとね!

本格的なバリスタではありませんが、喫茶店でバイトしていたことがあるので、その時を思い出しながらラテアートしていました。コツはミルクの泡のキメを細かくすることとミルクを注ぐ角度です。言わずもがな温度管理も大切です。まあ、本作はミルクをフォームしないんだけどね! 現実世界のラテアートより難しかったぞ。

episode2開発中に作者であるモハメド氏が若くして亡くなってしまうなどの不幸がありましたが、ありがたいことに開発は続くようです。寄付セールしていましたが、2の売り上げも一部、遺族に寄付されると良いな。ぜひ発売されたタイミングで購入したいと思います。

以下、ネタバレあり感想。

●フレイヤ

パケ絵と実際の彼女とを見比べると、なんか違和感というか別人に見えるよね。なんでだろう。実際の方が微妙にボーイッシュというか刈上げのように見えるのですけれども、でも「フレイヤ」らしいのは実際の方と思います。

さっぱりとして気持ちが良いキャラ。最初はハイテンションに驚いてしまうのですが、人を傷付けない前向きさ。時折突拍子もないことを言いだしますが、フレイヤだから許せちゃう。「主人公」の項目でも語りますが、否定しないからだろうな。驚いても「うんうんそういうのもあるよね」っていう方向に持って行く子というか。
「VA-11 Hall-A」でいうドロシーみたいな感じかな~。はちゃめちゃに好き! って感じではないんですけれど、しみじみと「好きだな……」ってなるキャラです。

●ガラ・ハイド

半世紀の仲だけあって、互いのことをわかっている。多少毒づいたりわがままを言い合えるように関係で、それを互いに許容できる関係。
いやまじで、あのハイドがAVの話題を出せて、かつ、ガラにからかわれる、みたいなのが堪らなくイイ。俺がやったら殺されるじゃん……?

ハイドは、ガラのことを恋愛対象として好きだった(あるいは現在好き)時期があると思います。ガラはどうなんだろうな。全てわかっていてあえて友人の距離感を保ち続けているのかもしれないし。案外、ルアとベイリースのことを二人も言えないのかもしれませんね。付き合いが長すぎて関係性を壊してもなあ、みたいな。

●ベイリース・ルア

思っていたよりも、真っ当というか、「普通の大学生」らしい出会い方をしていた二人。最初気にしなかった相手がいつの間にか特別になり、悲劇に酔っているわけでもなく。ロミオとジュリエットだから恋に落ちたのではなくて、ベイリースとルアだったから恋に落ちていた。そこが好きなんですよ。
個人的に気になるというか引っかかるのは、ベイリースがルアと同年代なのか、長寿感覚的な若者なのかがいまいちわからないんだよな。それぞれを匂わす発言が作中であったので……。

出会いは悲劇に酔っていたわけではないけれど、世間さまにロミジュリに見られて、愛し合っているのにずっと苦しんでいた二人。人生の先駆者たちに出会い、種族や価値観の違いに悩みながらも、互いを選ぶことが出来た二人。直面しなくてはいけない問題はまだまだあるけれど、いろんなことに悩みながらも頑張って欲しいな。
個人的にルアが、だって彼のこと好きよ! って感情を爆発させるシーンがとても好きなんですよね。言えたじゃねえか……ってなる。どこ目線?

ルアのルームメイトはマートルとアクアのどっちだろう~。性格的にはマートルの方が合いそう。

●マートル・アクア

マートルは常識人。
マートルは実際にニールと出会い系アプリで会う予定だった子だと思いますが、いざ出会ってみれば思わず他人のふりをする。まあ一般的な反応ですよね。でもニールが困っているのを見て相談に乗ってくれるあたり、優しい子だよねえ。ニールが何だか見ていて放っておけないということもありますが、アクアの人柄(人魚柄)といい、マートルは面倒見が良い。

アクアは物語が進むにつれ、SNSのアイコンがどんどん「自分に自信のある女の子」のものになっていく。これは嫌味でもなんでもなくて、アクアの最初のアイコンに比べて明確に違うんですよ。学会の発表の場という、「素人質問で恐縮ですが……」をされる場所に立っているときの緊張の表情をしている写真(=めちゃくちゃ武装している状態の自分)から、マートルというパートナーとのプリクラのアイコン(=オフの表情をしている自分)に代わる。
パートナーができて「自分の絶対的な味方が(家族以外に)いる」ということが彼女の自信につながり、「オフの自分」も認められたというかというか自分自身で愛せるようになり、だからオフの自分をアイコンにすることができた。
研究者としてのアクアはチームの一員で、だからこそ頑張れるというのもあるのでしょうが、逆に言うと個人の自分には自信が持てなかったのです。グループのアクアにも個人のアクアにも自信が持てるようになった写真でした。奨学金大変だよね、わかるよ……。

●レイチェル・ヘンドリー・ジョルジ

若い娘さんとおっさんたち。

ヘンドリーが少し行き過ぎている感じがして少し不快ではあったのですが、ヘンドリーは業界の闇を知っているし、過去に自分が担当した子たちを守り切れなかった、みたいな後悔の念もあったのではないかな、と思います。ヘンドリーが復帰したならレイチェルも、健全に、少しずつだけど確実に、業界で大きくなっていけるでしょう。

レイチェルは「VA-11 Hall-A」のミキみたいなアイドルキャラなのですが、ミキみたいにぶっとんでいるわけではなく、アイドルということを除けば等身大の女の子なので、いろんなことに悩んでいる。ミキは一見してわからない螺子が外れているからこそ、あそこまで出来るみたいなところはあるので……そこが好きなんだけれども……。

二人のぎこちない距離感を、ジョルジ(とフレイヤ)がうまく繋げてくれるのが良かった。ジョルジ、いいキャラですよね……。ジョルジの話を聞いているうちに、プレイヤーとしても、ヘンドリーとレイチェル両方の気持ちを汲むことが出来て落ち着いてくる。
ヘンドリーにミルク以外を出せばルートがbadEDに分岐するようですが、2週目だろうと俺にはそんなこと出来なかった……。現実世界の犬と猫よ、幸せであれ……悪意に晒されるな……。

●ニール

本作で異邦人である彼は、その価値観の違いから、時としてゲーム内キャラクターたちにとっても異質もプレイヤーである私たちにとっても、なかなかに異質な存在に見えます。そのようにキャラクター化されています。
しかしそのまっすぐさ故というか、登場人物たちの人の良さというか、両方というか。印象に残るキャラで蟻、そしてそれは悪い印象ではない。見ていてほっこりするんですよねえ。

エージェントは何????

●主人公

ニールのスーパーマン計画で生まれた子だと思っています。それがタイムトラベルして生まれる前の過去に来ている。

主人公がニールのスーパーマンだとしたら、ではその場合、父親はニールだとして、母親は誰になるのか、という問題。
フレイヤだと思います。

フレイヤは最初こそ戸惑ってはいますが、ニールのスーパーマン計画に対する偏見が少ない。ひいてはニールに交際(というか子作り)を求められた時も、別に否定はしていないんですよね、カルチャーギャップに驚いてはいるものの。その考え方やありかたを否定していない。

主人公がお金持ちだったのも、フレイヤが将来大作家になったとか,人間に擬態しているニールの医者としての稼ぎとか、そんなんじゃないかなあ。腕っぷしが強いっぽいのもニール譲りな気がシマス。ご都合主義に見せかけてご都合主義じゃなかった。

主人公がタイムトラベルをしているのは、両親が出会う喫茶店を守るため。この喫茶店がなくなると両親が出会った=結ばれたという事実がなくなり、主人公が生まれてこない。ひいてはスーパーマンが誕生してこないということになり、地球が消滅する。で、それを阻止するために主人公はタイムトラベルしているのではないかと思っています。スーパーマンとしてね。
スーパーマンと両親の出会い、どっちが先だったのかは、鶏か卵か問題。というか、最初はバーが潰れていなかったのかも。

「VA-11 Hall-A」と違い、主人公=プレイヤーと見せかけておきながらのこの展開ですので、正直賛否両論はあると思います。個人的にはまあありだと思いました。
2週目が「ぼろ出しまくっていた周回の話を回想する」という会話分岐があったのは面白かったです。うまくいかなかった周回、結構あるんだろうな……。まどマギか?

決定しているEpisode2も楽しみだな~。「N1RV Ann-A」みたいに、正確にいつ来るのかはわかりませんが、何か「N1RV Ann-A」より早く来そうな気がするのはどうしてでしょうね。

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和階堂真の事件簿 – 処刑人の楔 感想

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お題箱にておすすめしていただきました、ありがとうございます!
Switch4部作きてから遊ぼうと思っていたけれど、待ちきれなくて結局アプリで遊んじゃった。
渋い感じの推理もので、長くても2時間くらいでクリアできるくらいの長さです。

丁寧なぬるぬる動くピクセルアートが雰囲気にマッチしていてgood。ピクセル表現でなおというかなおさらというか、結構凄惨な殺人事件から物語は幕を開けます。

基本的に、情報集め→推理パート→次の現場なので、迷うことはほぼない。数が表示されているので、取りこぼしもあったら一目でわかるようになっています。
証拠などを相手に見せて証言を得る、といったようにして情報を集める箇所もあるので、ただ無心に連打している感じではなく、話をちゃんと聞いていなければなりません。推理には関係のない、ノイズ情報もあります。
とはいえ簡潔で無駄がなく、推理パートでも主人公と随一答え合わせをしながら進めていくので、話が理解しやすいです。

主人公と推理をしていくからこそ作中で引っかかった点もあるのですが、ちゃんと最後で回収されて、見事にまとまっていました。シンプルでやりやすくて、面白かった。良い作品です。2作目、3作目もやろ!

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フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと 感想

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何とも不思議で貴重な体験ができたゲームでした。ただ……ただ、酔う……! 酔うんじゃ……!!

つぎつぎと不幸な死に見舞われたフィンチ家。彼らの住む家は、屋敷にどんどん手を加え、歪に増築されていった屋敷。そんなフィンチ家はいろんな意味で有名な一族です。
プレイヤーはそんなフィンチ家の最後の生き残り、「エディス・フィンチ」として久しぶりに屋敷に足を踏み入れることになり、そして家族たちの死に想いを馳せることになります。

その屋敷が本当もう、俺の考えた最強の家って感じです。家族各々に自室があり、その各部屋が全て違う方向で魅力的になっています。誰かしらの部屋は刺さるだろうし、「ここに住みて~~~!」ってなると思います。なりました。
部屋や屋敷に散らばっているオブジェクトの一つ一つが、そこの住人たちの何かしらの思い出を表しており、家族の死というのも幻想的というか、全て物語的で。屋敷が長年放置されていたのに荒らされていたり埃が積もっていたりといった形跡が見られないのも相まって、ずっと映画でも見ているような気持ちになります。
ゲームシステムも、エディス(プレイキャラクター)操作時と回想時で全く異なるし、回想ごとにシステムがまるきり違っていて飽きさせることがない。ミニゲーム集といった感じの操作感。

本当に、酔いやすいというところさえなければ、という感じでした。ポケモンXの感想の時にも書きましたが、自分はゲーム酔いしにくい方だとは思っているので(最近自信なくなってきた)、なりやすい人にとっては本当辛いと思われます。「プレイしたいけれど酔いやすい」という人は、薬を飲むか、休み休みのプレイをおすすめします。

●以下ネタバレあり感想

プレイキャラクターのエディスが「家族の死がどうか報われますように」といった感じで追悼して想像を巡らせるゲームなので、当然といえば当然なのだけれども、エディスから離れれば離れるほど、あまり良い結末を迎えません。いや良い結末というかみんな死んではいるのだけれども、幻想的な終わり方というのかな。「その人の死を物語にできた」という感じの終わり方をしません。
逆に言えば後半に出てきたキャラクターであまり幻想的な死でないキャラクター(サムとか)は、エディスにとって見てあまり良い印象を抱いていなかった可能性が高いと思っています。美化する必要がないと思っていたことなので。

●モリー

モリーのパートは「日常生活に溶け込める、自覚のない狂人が、最後の一線の淵に立っていたから背中を押された瞬間」という感じがしました。本当に些細なことで一線は超えられてしまうものなのだと再確認。1940年代のネズミの餌や歯磨き粉って良くないもの入っていそうだもの……。

●カルヴィン

ブランコ酔いやすいけれど、空を飛びたかった(のだろう)という心境は非常に共感出来て好きです。けどなんでよりによって、酔いやすいカルヴィンが再プレイトロフィーやねんとは思いましたね……。

●バーバラ

彼女だけ普通に、明確に人間が犯人の殺人事件で、それが漫画などになっている(=見せ物化されている)のは普通に辛かったです。夢を追い続けて夢に殺された感じがする。

●ウォルター

バーバラの死の責任を感じて地下にいたのかな、と。線路もあったし電車にひかれたのかな。シェルター内部が定時に揺れる、といった説明があったし、それそのものが電車だったのかもしれません。彼を守っていたのも殺すのも、現実世界から救いだすのも、電車だった。

●サム

子どもの心境にもう少し寄り添えば死ななかったので、割と冷めた目で見ています。エディスも多分同じ気持ち。

●グレゴリー

イマジナリーフレンドに似たところがありますが、空想の世界との友達をかき消してしまう親の喧嘩声から逃げるために、空想の世界へ消えていった。ひたすらに楽しい世界と、親の喧嘩ばかり聞こえる現実。
このあたりからエディスの、家族の死に対する追悼想像が深まっていると思います。

●ガス

義母に対して、というか再婚という行為に対しての拒絶は、思春期ではまああるもので。避難した誰一人もガスについて思い至らなかった、みたいな回想があったあたり、何というか、サムに対して一昔前の家庭男性像を感じさせます。

●ミルトン

最初下へ伸びている蔦を見て「次こっちに行くのかな」って思っていたので、自分の世界を求めて蔦から家出をしたのか、あるいはその途中で転落死したのかなって思っています。個人的にはルイスとも繋がるので後者。
前作との繋がりがあるみたいで。前作凄い気になっていたのでぜひやりたいのですが、前作も凄い酔う気がする……。

●ルイス

先ほどミルトンが転落死した可能性を挙げましたが、その場合、大切な弟であるミルトンを新しい世界に旅立たせてあげる手伝いとして、見つけてしまった遺体を他の人に見つからないように処理したのがルイスなのではないかと思っています。「現実世界でミルトンの遺体が見つからない」がミルトンの生死をシュレディンガーの猫にさせるので。答えを知っているルイスさえ我慢すれば家族は希望があるし、ミルトンももしかしたら本当に幻想世界で生きていけるのではないか、という。うみねこ的な。
この場合、そりゃひきこもるし薬にも走るし病むよなって感じで、ルイス自体の死の理由にもつながっているので、割と説明になっているのではないかと思います。優しいお兄ちゃんだったから苦しんだし、外に出なければルイス自体は自分自身を空想の世界の住人にさせなかったと思うので、ことルイスの件に至ってはとどめを刺したのが母親だっていうのが、またなあ……。ルイスパートは本当に、じわじわと浸食されていく感じと、その浸食先の世界が「怖い」と「楽しい」が共存しているのが罪深い。

●イーディ

イーディの回想?で海のもう一軒のフィンチ家に向かうやつは、そのままイーディの失踪につながると思っています。

●ドーン

仕方のないことだとは思うけれども、子どもたち(ルイスとミルトン)の死の原因に多分なっている。それで本人は家を出てからそのことに気が付いたのだと思います。グレゴリーはともかくガスの件を経験しているのだし、自身もサムの死の際のエピソードを見るに理解のない親に対して思うところがあっただろうから、ルイスに対してもう少し……さ……と思わないでもない。似た者親子だったんだな。

●エディス

最後の出産の暗喩シーン、割とど直球でびっくりした。母になるにあたって、家族というものを振り返りにいった彼女。どういう最後を迎えたのかな。幸せだったといいな。

文量でわかると思いますが,ルイスとミルトンが好きでした。あとグレゴリーも。子どもが死ぬ系苦手なんですけれどもね……ゴレゴリーの死は怖くなく感じたのが救いです。

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VA-11 Hall-A ヴァルハラ 感想

PS Storeはこちら

そんでその後に見つけた公式サイトはこちら

PS4版でプレイしました。vitaでの評判聞いていて、買うか悩んでいた時にPS4パケ版初回購入特典付きが丁度発売したので購入して、ずっと積んでいた感じです。

グリッチシティの片隅にあるバー。登録コード名「VA-11 Hall-A」、通称「ヴァルハラ」は、コンクリート砂漠の、小さなオアシス。様々なお客が訪れます。
人間、非人間、生身が残っていたり残っていなかったりする人間。性的対象や価値観が異なる人たち。それが当たり前なんですけれどね。
プレイヤーはヴァルハラのバーテンダー、ジルとしてお客にカクテルを提供します。注文通りのカクテルを提供することもできますし、敢えて注文とは異なるカクテルを出すこともできます。カクテル作りは都度都度レシピを参照できるので、「あれ。あのカクテルの材料なんだったっけ」となることもありません。

かなりパンチの効いた下ネタを繰り出される(時にジルが繰り出す)のですが、まあバーだしこれくらいは出るだろ、といった範囲の下ネタです。
政治的な話題も同様ですが(キャラクターの一人が左翼モチーフで作られていることを特典冊子で述べられていたり)、それもまあバーだし日常な感じ、という範囲。バーというか飲み屋になんか偶に、めちゃ政治語ってる人いない? そんなイメージ。政治に無関心すぎるのも良くないしね。

サイバーパンク世界観の中で、さまざまな悩みを抱えながら、それでも生きていくお客たちを、バーテンダーという立場から、時としてプレイヤーという立場から。眺めて、刺激を受けて与えている。そんなゲームでした。
ハヤカワ文庫が好きならばぜひ遊んでみて欲しい。そんな作品です。

このゲームの感想を述べる前に何となく言っておいた方が良いかな、と思うので改めて書きますが、私はパンセクシャルのクィアです。ここにも書いています。それなりにいやな思いもしたことあるし、好奇の眼に晒されたこともあります。
んで、それを言った上で言いたいこととして、作中での所謂LGBTQ+の扱い方が気持ちよかったです。昨今、クィアベイティングや、「いまいちずれているんだよなあ」というLGBTQ+配慮もある中で、今作は本当に気持ちよかった。これこれ、こういうのだよ。って気持ちになりました。

以下ネタバレあり感想。

●ジル

ビアン寄りのバイである主人公。

ジルは無意識的に自分の道を選んでいて、お客に「使えないバーテンダー」呼ばわりされたと時には怒っています。バーテンダーという仕事に誇りを持っていることが伝わってきます。
レノアと大喧嘩しても分かれても、それでも研究者は嫌だった。レノアは研究者になりたかった。ひいては、研究者がジルにとっても良い選択だと思っていた。
価値観や意識のずれというのは、非常に大きなものです。結婚さえ考えていた二人にとっては、これから一生を共にするうえで見過ごせないものでしたでしょう。愛していても、受け入れられないものや譲れないものはある。多分、無意識的にジルはそれを持っていたのでしょう。

謝るといってもこの場合「貴方の望み通りに生きれなくてごめん」になってしまうし、謝ってわだかまりが溶けた瞬間に、二人を繋ぐものが何もかもなくなってしまいそうだし。だからジルはずるずるしていたのかな、という感じがしました。好きだからこそ、縁を無くしたくなかったからこそ、たとえ嫌な縁のままであってもつながっていたかったのかな、と。
だから互いに互いの道を尊重できるような別れ方をできれば付き合いも残っただろうけれど、自分の余命を悟っているであろうレノアにそんな余裕もあったとは思えない。結局喧嘩別れしかできなかったのかな、なんて思います。ガビィとは仲直りできてよかった。

ボスへの好きは,恋というよりも憧れという感じがします。憧れの先輩みたいな、アイドルみたいな。ボスから親友だと思っているといわれても、特にショック受けている様子もないし。

●イングラム

セクハラ行為が、「生々しい話やリアルの話を聞いて、現実に戻りたいが故の自傷行為」という感じがします。甘いお酒を出すことで話す内容変わるみたいだし。

家族の死が描かれているという意味でジルと比較があるイングラムですが、大切な人の死を受け入れて前に進むジルと、大切な人の死を受け入れられなくてその場に一緒にとどまっているイングラム。
ドロシーに娘役を頼んでいるあたり、イングラム自身、前に進みたいという気もないと思います。甘いお酒が好きなドロシーが今の彼にとっての夢の象徴であることがなんか示唆的だなって思いました。身内が亡くなったところから進むつもりがない私にとって、初日に出てきたこのキャラの過去話は本当に刺さったし共感した。
夢の中で生きて居たい。甘い優しい、夢の中で。

●セイとステラ

ヴァージリオとの絡み方は予想外でしたが、再会できて良かったなあと思えました。逆に言うと、ホワイトナイトが瓦解しなければ彼女たちは恩人と再会できなかったので、結局人生は巡り事だと感じます。

真っすぐに生きようとしているところが似た者同士。
ヴァージリオとの再会で、セイはホワイトナイトへの想いを吹っ切ることができた感じがあるし。ステラも念願のキラ☆ミキの生コンサートに行けたし。これからも真っすぐ二人で支え合って生きていってほしいです。

●キラ⭐︎ミキ

最推しまである。好きだ…………。
アイドルの自分に対して、というか音楽に対して非常にストイックでとても好きです。俺もポスター欲しい。そんな彼女だからこそ、訓練された質の良いストーカーに恵まれるのだと思います。訓練された質の良いストーカーに恵まれるって日本語、冷静に何????

●アルマ

「巨乳女は頭が悪い誤解をいちいち解かなくていい」みたいなフレーズで手を叩いて喜んじゃった。自分の能力も胸も誇りに思っている良い女だぜ。

アルマにとって家族が非常にあたたかいものなのだと思いました。だからこそ真剣に慎重に交際をするし、少しでも引っかかるところがあればすぐに分かれる。良いことなんだけれども、婚活パーティとか行って家族観の話から入った方が良い気がする。
逆に言えば家族観が合うからジルとは親友続けられるし、バッドエンドで家に泊まらせることもできるのだと思います。アルマの性的嗜好でジルと付き合うことはありませんが、ずっと友達でいてほしいな。

姉との確執も、大好きだった姉と今はもうどうしようもなく家族観が合わないっていうのが、一番どうしようもなくて悲しい。本当にどうしようもない。
彼女の中で「姉と喧嘩した前の家族」と「姉と喧嘩した後の家族」が多分分かれていて、アルマは前者に憧れというか郷愁を抱いているのだと思います。

●ドロシー

さっぱりしていて非常に気持ちのいいキャラです。猥談多いけど、ドロシーの語り方がなんというか、カラッとしているんだよなあ。

義理の姉への憧れを純粋に語っていて、義理の母への大切ゆえの遠慮と配慮があって。
物理的に他人と結びつく仕事をしているのは、精神的に他人と結びつくことへの憧れもあるのかな、なんて思いました。多分ひとという存在が純粋に好きなんだろうな。

●ガビィ

たぶん、ジルにすぐに気が付いてほしかった。
そして何かしらの、拒絶ではない言葉をかけてほしかった。
のだと思います。最終的にちゃんと、自分たちの想いをわかりあうことができてよかった。
でもキュウリは墓場まで知らなくていいと思う。

●デイナ

初回限定盤特典冊子などでわかること? なのかな? として、デイナは言ってしまえばメアリー・スーなのですが、困っている人たちにきちんと手を伸ばして、そして実際に勝手に救われるまで見守って、時には支えて。
デイナ(やギリアン)に支えられるジルに私も救われて。良いボスだなあ、と思います。ヴァルハラではなくなってしまうけれど、小さなオアシスをまた作り上げてくれ。

●ギリアン

割と好き。結ばれてよかったね。
セイを病院に運んだのは恐らく彼だと思うんですけれども、どこにも行けない彼がグリッチシティの中で人のつながりというのに触れて、これからどうなるのかな。

追記。ジョンジョンって呼ばれているの、ジョン・ドゥと重ねていたんですね。なるほど。

●マリオ

AKIRAの金田+鉄雄モチーフ(リスペクト)キャラだと思う。金田3:鉄雄7くらいの。男らしさへの憧れと羨望。

●ベティ&ディール

恋愛関係とはまた違うかもしれないけれど、互いがなんだかんだで唯一無二の二人が好きです。なんか、恋人じゃないけど、仕事辞めた後とかに同棲というかルームシェアとかしていて欲しい。
いろんな意味で母性を感じさせるベティが、ディールにはそうでない面を見せることができる、という構図が好きです。

因みに冒頭に述べていた左翼モチーフキャラがベティ。特典冊子に買いとったわい。

N1RV Ann-Aも楽しみ! 開発中止ではなく延期なのでいつまでも待ちます、待てます。積みゲーが山のようにあるのでね……。その代わり絶対出してくれよな……。

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Helltaker 感想

steamページはこちら

2020年5月、突如としてsteamに現れた無料ゲーム『Helltaker』。無料・高いクオリティ・パズルゲームなのにパズルを飛ばせるなどなど、様々な理由で一躍有名になったこの作品ですが、間違いなく一番の要因は「キャラクターが全員かわいい」だと思っています。いやまじで全員性癖、主人公もやぞ♡
いうて自分はパズルもクリアしたいなあ、と頑張りながらやっとクリアできたので感想を書こう……としたら一周年を記念しアップデートで Extra が追加されたので慌ててやってきました。最終面は難しすぎて流石に飛ばしましたが、いつか再チャレンジしたいと思います。
気になっている方にはぜひともやってとおすすめしたい一作です。やれやれ! 無料やぞ! お布施も払えるぞ! 

あとね何が良いって、導入が良いです。ある日、主人公が悪魔の娘たちでハーレムを作る夢を見て、マジで作るために地獄へ赴くお話です。本当にこの一行で全部説明できています。もうシンプルで良い、これ以上ない説得力で良い。悪魔の娘のハーレムなんてね、夢で見ちゃったのならね、そりゃ作るしかないんすわ。誰だってそーする、俺もそーする。

所謂倉庫番に分類されるパズルゲームで難易度は高めだと思うのですが、前述したとおりパズルが飛ばせる。またそのことを抜きにしても、リスタートが気持ちよくできるのが良い。道中で詰まってもボタン一つでやり直せるし、手数の問題で死んでしまってもすぐに最初からになるあたりがとてもいい。そういうやり直しで積み重なるストレスというものがまるでないです、パズルを解けない自分に対して溜まるストレスは残念ながらあります……。

余談ですがこれをきっかけにsteamを始めてしまったので、つまりどういうことかというと、steamの積みゲーも始まってしまいました。噂には聞いていたけれど、steamセールのあの異様なほどの高揚感、何なのでしょうね。もう既にかなりの数のsteamゲームを積んでいます……。やるのでお勧めのゲームをギフトとして贈ってくれてもいいんですよ? いやでも壺男とかは贈られても多分やらないな……。

悪魔、白髪。大半のキャラクターたちはそれらを共通して持っているのに、きちんとそれぞれの悪魔娘がキャラ立ちしているのが非常に良いです。余談ですがアザゼルが「生えてそう」って結構言われているのが好きです、私も思う。
パズルがどんどん難しくなるのに、ヒントがどんどんヒントとして役に立たなくなっていくのがまた良いですね。いや割とヒントは切実に出して欲しいけれどもね。まあみんなそこでわちゃわちゃしていなさい。おっちゃんはちょっとこっちで、死にまくりながら頑張るから……。

以下、Extra 部分のネタバレを含みます。

Extraの主人公が本編主人公の生まれ変わりや身体を利用した実験体だとかそこらへんなのかな、と思いました。ううんルシファーが最後に少し切なそうにしているのがまた良い。終わり方的にまた二周年、三周年などに追加コンテンツを作るつもりなのでしょうか。楽しみです。
アザゼルがロアマスターになった経緯は、漫画の方のルシファーとのやり取りが元だと思うのですが、それにしたってルシファーは迂闊可愛いですね。週2の暗殺ってアグレッシブね。

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Isoland 感想

Switchでやりました。Nintendo Storeはこちら

『ミスターパンプキンの不思議な旅』の雰囲気が好きだったので購入したら同じ会社でした。好きだけど前作といい今作といい「いや……この謎解きは無理があるやろ……」というのがたま~にあるのは何とかなりませんかね。気合か、気合しかないのか。

がっつりクトゥルフ神話要素があって、ゲーム自体がCoCやっている感覚。登場NPCもSANCに失敗して発狂を引いている人が多い。
EDは二種類(1週目と2周目で違う)あって、2周目の方は「門の創造」あたりをがっつり使っています。

2と3が出ているのは知っているので、キャンペーンシナリオちっく。まんまCoCって感じ。嫌いじゃない。そのうちやろうと思います。
灯台の赤い箱だけ未解決で終わらせてしまいました、ヒントわからなくて……。何だったんだろうあれ。

雰囲気が好きな人は買って損のないパズルゲームでした。値段もお安いしね。

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Isoland 感想

Gorogoa 感想

Switchでプレイしました。My Nintendo Store はこちら

美しい手書きイラストから造られたパズルADV。任天堂公式でよゐこのお二人がプレイしましたね、自分もそれで知ったのですけれど。
絵画のようなパズルをずらしたり重ねたりする感覚でプレイできるゲーム。クリア後にデモ版? もプレイできるのですが、結構中身違っていてびっくり。どちらも好き。

言葉で語られることは一切ないゲームなのですが造りが丁寧であることと散りばめられたモチーフからなんとなく考察ができます。というわけで、ここからは自分なりのGorogoaの考察をしたいと思います。

このゲームで一番印象的なモチーフはやはり『眼』だと思います。ゲームタイトルやゲーム序盤で現れる緑色の眼。魚のような鳳凰のような、そんな存在の眼。
一体この『Gorogoa』という存在は何なのでしょう。戦争や災害の象徴なのではないかな、となんとなく思っています。ゲーム内で主人公は少年・青年・老人の姿をいったりきたりしています。

ゲーム中に集めている五色の林檎の果実、のようなもの。供物としてGorogoaに捧げる集めるために作中で主人公が集めているのですが、実際にGorogoaが求めていたのは、供物そのものではなく供物を集める上での経験だったのかなあ、と思います。
Gorogoaが求めていたのは、知識・経験、言ってしまえば人生。主人公そのものが『供物』で主人公そのものが『Gorogoa』でもあったのかな、と感じました。
人身御供に近い。人身御供は日本だと水害のイメージが強いですが、インカやアステカなどでは太陽信仰の影響が強いんですってね。あの『眼』は正に太陽というに相応しいのではないでしょうか。

パズルゲームとしても考察の余地があるゲームとしても、良いゲームでした。わかんない、って場面が出てきてもぽちぽち頑張れば何かしらの手掛かりがつかめるし、良いゲームです。ストーリー展開的には後半の鳥肌の立ちが凄かった。よゐこさんのあの動画もゲームの良いところが伝わって核心には触れない、良い動画でした!

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Gorogoa 感想